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【速報】令和2年司法試験の実施延期の影響について

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2020.04.08
【2020年5月15日加筆情報 延期日程が発表されました】⇒https://la...

【2020年5月15日加筆情報 延期日程が発表されました】
https://lawplatform.co.jp/medianews/2020/05/post_8/

法務省は4月8日に司法試験及び司法試験予備試験の実施延期を発表しました。以下、法務省のHPから全文引用いたします。


「令和2年司法試験及び司法試験予備試験の実施延期について
令和2年4月8日 司法試験委員会

新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ,令和2年司法試験及び司法試験予備試験の実施時期を延期することとします。延期後の実施時期等については,おって,可能な限り速やかに法務省のホームページ上において公表する予定です。」

http://www.moj.go.jp/content/001318696.pdf

SNS上で司法試験の延期を求める署名活動が実施されるなど、延期を求める声が上がっていました。2011年3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋地震及びこれに伴う福島第一原子力発電事故による災害)の際には、試験会場の一部変更は実施されたものの、司法試験は予定通り実施されました。延期は司法試験の歴史上異例の措置です。以下、今後の各種影響について簡略にまとめます。

1 令和2年司法試験の中止もありうる 
 例年、司法試験合格発表は9月上旬に実施され、11月下旬に司法修習が開始されます。5月の司法試験から合格発表まで要する期間は約4か月間であり、司法試験の採点業務に要する時間として確保されています。延期するにしても採点業務に要する時間を考慮すると、残された日時はそれほど多くないといえます。そのため司法修習開始時期を例年どおりと仮定すると、コロナウイルスの影響の度合いによっては延期ではなく、令和2年の司法試験実施の中止ということも十分ありえます。
 もし中止となった場合には、令和3年司法試験受験予定者と令和2年司法試験受験予定者が競合することになり、令和元年司法試験と比較して司法試験の合格率は低下し、司法試験の合格者数については令和元年の1502名から増加に転じるものと予想します。

2 就職活動への影響
 例年、司法試験終了直後の5月下旬から、企業や法律事務所の就職説明会が開始されます。大手渉外系法律事務所の内定出しは主に6月中に実施されており、その後、中堅企業法務系法律事務所、小規模企業法務系法律事務所、一般民事系法律事務所の順に内定出しをするのがおおまかな傾向です。

 司法試験が中止ではなく延期で開催されると、上記採用主体の内定出しの時期が変わってくるため、同じ時期に例年より多くの採用主体の選考が集中し、採用主体にとっては募集団形成の難易度が高くなると予想します。そのため、司法修習中にも採用活動を継続する法律事務所や企業が多くなり、司法修習生にとっては交通費や面接時間の確保などの負担が大きくなるでしょう。ここまでは、昨年と同様の採用ニーズがあるとの前提に立っています。一方、コロナショックが採用数の減少につながった場合には、最近の超売り手市場から買い手市場に変化するでしょう。リーマンショック後の就職難時代の再来となり、希望先に就職できる方の割合が減少し、当該就職先からの離職率が将来高くなると予想されます。近年減少傾向であったインハウスローヤーをファーストキャリアとして選択する方が増加に転じるかもしれません。ここ数年採用に苦労していた企業にとってはチャンスといえるでしょう。

 万が一、令和2年司法試験が中止された場合には、令和3年司法試験合格者の就職活動は、売り手市場になることが予想されます。法律事務所の弁護士採用のほとんどは新人弁護士であり(中途採用で経験弁護士を採用できる法律事務所は少数派です)、令和2年司法試験合格者の採用ができない以上、令和3年司法試験合格者の採用を目指す採用主体が増加することになるからです。

3 法律事務所の人員計画への影響
 コロナショックの影響により、法律事務所の採用数が減少した場合には、景気回復フェーズで人材不足となることが想定されます。業務量の増加に対してアソシエイト数の増加が追い付かない場合には、各弁護士の執務時間が長時間とならざるを得ません。令和2年司法試験合格者が令和2年11月から始まる司法修習を無事修了した場合には、多くの方が2021年12月もしくは2022年1月から執務開始となるため、今から約1年8か月後に影響が出てきます。弁護士の中途採用の難易度は高いため、中途採用で必要人員を補充できる法律事務所は少数派です。司法修習生の採用戦略が2021年以降の法律事務所の成長力に大きな影響を与えるでしょう。コロナショックにより採用ニーズが減少し採用競争が鈍化すると予測し、優秀な人材を採用するチャンスと捉える法律事務所もあります。各法律事務所がいかなる採用戦略を選択するか、経営者としての手腕が試されるときといえそうです。

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