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伊藤忠商事&企業法務革新基盤 タイアップ企画記事 「伊藤忠商事 インハウスローヤーの軌跡~大手法律事務所から伊藤忠商事に移籍し見えた世界とは~」前編

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2022.06.24
伊藤忠商事&企業法務革新基盤 タイアップ企画 「伊藤忠商事 インハウスローヤーの...

伊藤忠商事&企業法務革新基盤 タイアップ企画
「伊藤忠商事 インハウスローヤーの軌跡~大手法律事務所から伊藤忠商事に移籍し見えた世界とは~」前編

登壇者紹介
・伊藤忠商事株式会社 弁護士 梅田 将吾
略歴 新63期司法修習修了。修了後、大手法律事務所に入所。ジェネラルコーポレート・ファイナンス・M&Aなど弁護士として多岐に渡る経験を積む。
2017年5月に伊藤忠商事法務部に入社。繊維、住生活、情報、金融ビジネス領域担当を経て、現在は食料ビジネス領域におけるリーガル業務に従事。その他にベンチャー企業に対する投資案件等、幅広い企業法務業務に関与。

・企業法務革新基盤株式会社 代表取締役CEO 野村 慧
略歴 2019年2月より現職。瀧本哲史京都大学客員准教授と共同で現職を創業。著名な企業法務系法律事務所及び法務部への弁護士や法務人材のエージェント業務と組織コンサルティング業務を手掛ける。

※本記事は大変好評であった2020年のセミナーを再構成したものです。


(野村)みなさんこんにちは。伊藤忠商事と企業法務革新基盤のタイアップ企画を始めさせていただきます。本企画では、伊藤忠商事にて活躍されているインハウスローヤーの梅田弁護士に焦点を当て、伊藤忠商事でのキャリアについて紐解いてまいります。インハウスローヤーの役割や、転職の理由、伊藤忠商事のディールの詳細などさまざまな論点について議論を展開します。

幅広い経験を求めて伊藤忠商事へ

(梅田)こんにちは。まず自己紹介をさせていただきます。私は、司法試験を合格した後弁護士数が多いいわゆる大手法律事務所に入所致しまして、それから6年半事務所で勤めました。その後、2017年に伊藤忠商事の法務部に入社致しまして、現在3年半ほど企業法務の経験を積んでおります。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

(野村)よろしくお願いします。では、話に入ります。
まずは、「大手法律事務所に入って見えてきた世界とは」ということで、梅田さんは法律事務所に入られてさまざまなことをご覧になられたと思いますが、そもそもなぜ裁判官や検察官ではなくて弁護士を目指されたのでしょうか。

(梅田)私が弁護士を選んだのは単純にビジネスに興味があったからです。当時でも司法試験に合格した後、インハウスと弁護士事務所という二つの選択肢があったのですが、インハウスは具体的にどういうことをやるのか全くわかっていませんでした。そのため、特に悩まず法律事務所を選びました。

(野村)10年前ですので今とだいぶ違いますね。今はインハウスに関する書籍も多く出版されていますし、情報発信もありますので、情報流通量が当時のそれとは大きく異なります。インハウスの人数も当時から7倍に増えています。昔はファーストキャリアとしてインハウスに行こうという機運はあまりなかったのですが、それが毎年百人弱くらいは司法修習後に行くようになったというのがかなり大きな違いだろう、と思います。
話を進めさせていただきます。大手法律事務所に入って1年目、3年目と年次が上がるにつれて、見える景色が変わってくると思います。まず1年目の時は仕事をどのように感じられていましたか。

(梅田)1年目はとにかく忙しく、目の前の仕事でいっぱいいっぱいでした。具体的には、法律リサーチやDDの一部を行ったり、日本語の契約書を英語に直したり、英文を日本語に直したりしていました。ただ渉外法律事務所でも海外案件をあまり取り扱わないことは意外でした。クライアントが外資系で契約書を翻訳することはありますが、クロスボーダーの案件や米国での案件はありませんでした。
 3年目になると、どのように専門分野を作っていくか、長期的な目線で見るようになってきました。不動産やファイナンスを専門分野にしていこうと思ったのは3年目からです。

(野村)渉外案件があまりないのは意外ですよね。

(梅田)そうですね。これは私が事務所を退所するまで変わりませんでした。同期がまだ事務所にいるので確認したのですが、徐々に海外案件も増えてはいるようです。大手事務所での海外案件では、現地の法律事務所とコワークする形が多いそうです。
ただ、企業側としては現地の法律事務所を直接起用することが可能であり、その場合、海外案件の受任において現地の法律事務所と競争することになりますが、現地の法律事務所の弁護士は現地の資格を持っており、法律の知識・実務経験いずれも豊富です。
現在、伊藤忠商事では海外案件だと、現地の法律事務所や各国に弁護士を抱えるグローバルな事務所をダイレクトに起用することが多いです。

(野村)その点、商社が相手にしているマーケットはグローバルですよね。

(梅田)そうですね。国内案件もあるし、海外案件もあります。

(野村)梅田さんは7年目に転職されていますが、転職にあたってどのようなきっかけがあったのでしょうか。

(梅田)転職のきっかけは、自分の専門を広げたいと思ったことです。法律事務所の3年目くらいに不動産やファイナンス分野を主にやっていたのですが、それだけではこの分野自体が発展しなかったらどうしようという不安がありました。そこで、新しい経験を積みたくなり、所属しているグループとは違うグループから再生エネルギー関連の仕事をもらうことにしました。
しかし、それは難しいものでした。というのも、所属グループでの従前の仕事に加えて仕事をもらう形になるので新しい仕事がどうしても片手間になってしまうからです。また、所属グループの人もあまり快く思ってくれませんでした。事務所で新しい経験をすることは難しい、と思い転職を決めました。

(野村)新しい分野に挑戦することができるか、私の経験上事務所を見極める上でのポイントとしては、財務基盤の余力があるかどうか、人の余力があるかどうか、そのような挑戦を推奨するパートナーシップを組んでいるかどうか(パートナーのアサインの裁量権も含む)等があります。これらが政治的にも影響を及ぼすものと考えますが、どのように感じられていましたか。

(梅田)そうですね。新しいやりたいことができるのかは、事務所やグループの風土も重要だと思います。

(野村)ありがとうございます。それでは、転職される際に、なぜインハウスを選ばれたのでしょうか。また、なぜインハウスのなかでも商社を選ばれたのでしょうか。

(梅田)私は、インハウスを選んだというよりも、「商社のインハウス」に転職しようと思い、総合商社にだけ求人を申し込みました。理由は、総合商社はいろいろなビジネスをグローバルに行っているので、幅広い経験が積めるのではないかと思ったからです。

(野村)商社で幅広くビジネスが行える、というのは具体的にどういうことでしょうか。

(梅田)商社にはいろいろなビジネスモデルがあり、契約は取引に関する契約も投資に関する契約もあり、案件は海外案件も国内案件もあります。契約書は我々法務部がドラフトします。その過程で色々な法律の勉強ができ、経験を積むことができます。

(野村)なるほど。商社の法務部は楽しいとよく聞くところです。これは商社の法務部は経営の意思決定に寄与できるということもあるようです。戦略的なリーガルニーズが大きく、いわゆる戦略法務ができるということです。さらにお伺いしたいのですが、なぜ総合商社の中でも、伊藤忠商事に入社されたのでしょうか。

(梅田)伊藤忠が色々と新しいことをやっている会社だからです。伊藤忠は非資源の分野に強く、消費者フィールドを重視した会社です。資源ビジネスも勿論大事ですが、それに限らずビジネスの裾野が広いことが魅力です。また、朝型勤務や脱・スーツ出勤を導入するなど、財閥系商社とは違う企業文化を持っています。このような様々なことにチャレンジする会社ゆえに法務のプレゼンスは高く、法務部において色々な経験が詰めるのではないかと思いました。


本記事中編は6月26日に公開予定です。

今後の採用活動について(令和4年司法試験受験者対象)
・次回のタイアップ企画(第二回セミナー)について
第二回セミナー(ライブ配信)は7月下旬に開催予定です。詳細は企業法務革新基盤のHP及びTwitterにて告知いたしますのでご確認ください。
本セミナーは伊藤忠商事選考に参加する上で非常に示唆深い内容を多々含むため、応募を検討されている方は是非ご参加ください。

・採用スケジュールについて
9月6日にエントリー受付を開始し、9月中旬より選考開始予定です。
詳細については、今後伊藤忠商事採用HPに掲載いたしますのでご確認ください。