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2026年五大法律事務所の新任パートナー就任に関する統計分析 ~新任パートナー数が過去最高を記録~【訂正版】
1月9日に公開いたしました記事「2026年五大法律事務所の新任パートナー就任に関する統計分析」につきまして、一部のデータに誤りがございました。お詫び申し上げます。誤りが判明した後、直ちに記事を修正いたしました。現在公開されている記事は、すべて修正後のデータに基づいております。以下、ご照覧いただけますと幸いです。
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新年を迎え、1月5日に五大法律事務所すべてのパートナー就任人事が公表されました。
パートナーシップは法律事務所の根幹を成す制度です。パートナーの人数規模や年齢・性別・国籍・プラクティスエリアの分布には、法律事務所の経営の意思が現れます。同時に、パートナー就任人事は、採用・育成・評価といった過去の事務所経営の帰結でもあります。
上記の観点から、弊社では新任パートナーの人数と属性の傾向を集計・分析いたしました。
まず人数の面から見ると、2026年の新任パートナー数は、森・濱田松本法律事務所が24名、西村あさひ法律事務所が22名、TMI総合法律事務所が20名、長島・大野・常松法律事務所が17名、アンダーソン・毛利・友常法律事務所が15名でした。五大法律事務所合計では98名となり、前年(71名)と比べて27名増加しています。これは、弊社が集計を開始して以来、過去最高の人数です。
直近5年の推移(弊社集計)をみると、森・濱田松本、長島・大野・常松、TMI総合における新任パートナー数の増加が、全体増の主要因です。
森・濱田松本が西村あさひを抜いて五大で最多の新任数である点は注目に値します。前年から新任パートナー数が大幅に増加するパターンは、直近数年の新任数が相対的に少なかったことによる反動として、昇格候補者が短期間に集中して表出することで説明出来る場合が殆どでした。しかし、本年の森・濱田松本では、3年前に新任パートナー数が増加して以降も高水準を維持するにとどまらず、更なる増加が観測されました。従って、本件は従来型の反動増という説明だけでは整理できません。加えて、後述するように増加の主要因の一つが外国弁護士であることを踏まえると、パートナー候補の母集団そのものが、日本人中心から海外拠点を含む構成へと比重を移し始めている可能性があります。結果として、組織の拡大やグローバル運営の統合度を高める方向性が、今回の人事に滲んでいるように見えます。
同様に、長島・大野・常松も変化の兆候が見えます。これまで10名前後で推移していたところから、本年は前年の2倍以上に増加させています。単年の上下はどの事務所にも起こり得る一方、これだけの跳ね方は、育成のパイプラインやパートナー人事の考え方に何らかの方針転換があった可能性も示します。来年以降に同水準が再現されるかどうかで、一過性か継続的なトレンドか判明するものと思われます。
次に、年次(修習期)の分布です。各事務所の新任パートナーの修習期分布は以下の通りになりました。
新任パートナーの修習期に着目すると、最年少での新任は69期でした。前年の最年少期を1期更新しています。前年は例年より若い修習期での新任が目立ちましたが、本年はその反動として上の年次が厚くなるという形にはならず、引き続き67期・68期を中心として新任されている傾向が見られます。
この背景として、五大法律事務所がリーマンショックの影響を受けた65期前後で司法修習終了者採用を大きく減らし、その後採用を増加させ続けてきた、という採用コホートの影響が考えられます。候補者の母数が相対的に少ない期は、パートナー候補の層も薄くなりやすく、候補者のほぼ全員がパートナーに就任した、という局面に相対的に早いタイミングで移行する傾向があります。65期前後の弁護士について、そうした現象が起きている可能性は否定できません。
本年は、67、68期がパートナー新任の中心層となったことで、過去の五大法律事務所の司法修習終了者採用数の増加の影響がパートナー人事に及び、新任パートナー数の押し上げに寄与しているようにも見えます。69期以降も、五大法律事務所の司法修習終了者採用数は増加傾向であるため、今後も新任パートナー数は増加する傾向が推測されます。
新任パートナーのジェンダー構成を見ると、五大全体では女性比率が17.3%となり、昨年から3.4ポイント上昇しました。
事務所別では、森・濱田松本が29.2%と最も高く、2024年以降、女性比率が高い傾向が見られます。次いで長島・大野・常松が23.5%でした。長島・大野・常松は昨年が0%だったため、今回の高比率はその反動の可能性があります。西村あさひは18.2%で、例年20%前後を比較的安定して維持しています。アンダーソン・毛利・友常は13.3%、TMI総合は2年連続で0.0%という結果になりました。
また、男女別新任パートナーの修習期分布は以下のとおりです。男女別に修習期の平均を見ると、男性の平均が65.39期、女性が65.22期で、平均との差は0.17期まで縮小しています(前年は差が2.67期)。
女性の平均修習期が下がったことは、早い段階で昇格機会が与えられている可能性を示し得ます。一方で、女性比率そのものは依然として低い水準であるため、人数の小ささに引っ張られて単年の平均が動きやすい、という統計的な不安定さも孕みます。したがって、女性比率と女性の平均修習期をセットで見ながら、トレンドとして定着するのか、それとも単年要因なのかを見極めていく必要があります。
出向経験についても、五大の共通傾向が見えます。出向経験率は五大法律事務所すべてで50%以上となりました。すなわち、新任パートナーの2人に1人以上が出向経験を持つ計算です。出向は個別のキャリアイベントであると同時に、育成設計の一部として組み込まれているものと思われます。
最後に、外国弁護士比率については、五大法律事務所すべてで外国人弁護士がパートナーに就任した点が特徴的です。これは過去5年間では見られなかった動きです。中でも、森・濱田松本において、現地外国弁護士が新任パートナーの4分の1を占めていることは象徴的です。
前年の新任パートナー記事では、グローバル化の進展において現地外国弁護士の採用・昇格の必要性に触れましたが、今回の森・濱田松本の人事は、海外拠点をパートナーシップ運営の中に組み込んでいく姿勢を示唆するものと読めます。
この動きは、海外オフィス展開とも呼応しています。2025年も五大法律事務所による海外オフィスの展開は旺盛でした。具体的には、西村あさひの香港・ブリュッセル事務所開設、長島・大野・常松のロンドン事務所開設、森・濱田松本のロンドン事務所開設(2026年業務開始予定)が挙げられます。アンダーソン・毛利・友常はロンドン・ブリュッセルに、TMI総合もロンドン・パリ・ブリュッセルに事務所を開設済みであり、五大全体としてヨーロッパへの展開強化がうかがえます。
中でもTMI総合はパリに拠点を置き、東京にフレンチデスクを配置しています。今回の外国弁護士の新任パートナーの一人がフランス法弁護士である点もあわせると、フランスを重点地域の一つとして見ている可能性がうかがわれます。五大法律事務所の中でもこの組み合わせは相対的にユニークであり、TMI総合のプラクティスと連動した戦略であると推測されます。
企業法務革新基盤では今後も、企業法務領域の動向をデータで読み解き、皆さまのキャリア形成に役立つ情報を継続してお届けします。
本稿が、五大法律事務所をはじめとした企業法務系法律事務所内でのキャリア戦略や、インハウスへの転身を含む次の選択を考えるうえで、思考の材料になれば幸いです。
弊社は弁護士・法務人材に特化した支援を行っております。個々人の志向や価値観、強みの棚卸しと、公開情報・独自データに基づくマーケット分析を掛け合わせて、中長期の視点でキャリア戦略を設計します。
皆様のご支援により2025年は、リーガル特化エージェントおよび組織コンサルティング事業が大幅に伸長し、上半期末時点で2024年度通期の売上・利益を上回る水準となりました。また、データに基づく大規模組織コンサルティングプロジェクトとして複数の企業法務系法律事務所・企業法務部門をご支援する機会を頂きました。
キャリア及び組織に関する課題感をお持ちの方は、ぜひお気軽に弊社にご相談ください。
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引用:
アンダーソン・毛利・友常法律事務所:
https://www.amt-law.com/news/detail/news_20260106010_ja_001/
TMI総合法律事務所:https://www.tmi.gr.jp/information/2026/17820.html
長島・大野・常松法律事務所:https://www.nagashima.com/topics/topic20260101/
西村あさひ法律事務所:https://www.nishimura.com/ja/news/20260105-117856
森・濱田松本法律事務所:https://www.morihamada.com/ja/notices/130031
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