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BUSINESS LAW JOURNAL カンファレンス 基調講演録【第一回】 ~法務パーソン、インハウスローヤーはいかなるキャリアを歩むべきか~

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2019.11.05
2019年5月14日に日経ホールで開催された「BUSINESS LAW JOUR...

2019514日に日経ホールで開催された「BUSINESS LAW JOURNAL カンファレンス 法務×経営×効率化」。弊社ファウンディングパートナー瀧本哲史の講演録です。今回は、連載で掲載いたします。今回は、1回目となります。なお、講演の臨場感が伝わるよう、できるだけ口語のまま記載しております。

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法務部って、私が学生だった頃、営業にはいまいちだけどデスクワークでの生産性高い人が配属されるイメージでしたが、今は全然違います。

最近の経営のキーワードをざっと想起してみますと、法務部の中身を変えることによってそのほとんどが変わります。例えばグローバリゼーション。グローバルM&Aは当然法務が管轄となりますし、M&Aした後のグローバルコンプライアンスも法務部の管轄です。イノベーションマネジメントは最近流行っていますが、様々な方面との提携が必要で、そこにも法務部がかかわってきます。このように、あらゆることに法務部が関わっていくようになっています。むしろ、法務が企業経営の中心となりつつあります。

ただ、これは法務部というより法務サービスですよね。それでは法務部はどうすべきでしょうか。そもそも、法務というものを事業におけるプロフェッショナルサービスとして考えたときに、なぜプロフェッショナルサービスは成り立つのか、どういうタイプのものなのかを考える必要があります。その際に、3つのタイプだと経営学的に類型化されます。一つは非定型な問題を定義して解決する法務サービス。これはコンサルティング会社でいうと、戦略コンサルティングで一番単価の高いサービスです。次に専門性経験蓄積型サービス。つまりエクスペリエンスを持っているからサービスを提供できるわけです。いわゆる範囲の経済と言って、ある特定分野について詳しくやっているからサービスを提供できます。最後にローコストオペレーション型サービス。単なるアウトソーシングですね。沢山の人を使ってぐるぐる回しているからとても安くできる。これはIT会社や、弁護士事務所などの一部のサービスで同じようなことが言えます。じゃあ法務部はこの分け方のどこに入るのでしょうか。ビジネスの問題を法的な問題として定式化するということは、非定型問題提起型というのに当てはまっています。これは一番難しく、実は最も付加価値が高いことです。

皆さんよく仕事をされているときに、この問題をこういう法的問題があってここの部分がかなり最新の状況・性質があるから、これは法務で処理するよりも事務所に依頼しようと開き直ることありますよね。こういう部分が、1番付加価値の高いことです。というのは、事務所はそれぞれの法律問題に対しての専門家ではありますけれど、ビジネスの専門家ではない。何がビジネスの中で法律問題として1番重要なのかと言うことを、必ずしもよくわかっているわけではないのです。システム開発でも1番単価の高いところはSEのプロジェクトマネージャーなんですよね、実は。コーディングとか開発とか言うのは安く買い叩かれてしまっています。どういうことに問題を分割してどういうところに依頼をかければ良いのかという、問題を定式化することが、1番付加価値が高いわけです。

私どもの会社では、エージェントサービス、法務部組織コンサルテイング、企業法務系法律事務所の組織コンサルテイングに加えて、リーガル人材の採用試験のコンサルティングもしております。そういうときにどういう人がこの分野成功するかということが問いになるわけですけれども、普通に考えれば大学でどれぐらい勉強していたか、後はリクルートその他がやっている適性試験をやればいいんですけども、経験的にはですね、そういうことをしてもほとんど良し悪しがわからないということが多いです。同じようなロースクールを出てあるいは同じような法学部を出て、同じような成績をとっていて、大体どれくらいできるかわかる人を510年使ってみると、大きく差がつくわけです。なぜ差がつくんだろうと考えると、実は法律の知識ではなく、問題を定式化して分割できるかというところが大きいポイントになってくるということがわかりました。なので私共がお手伝いするときは、どういう問題を出すかというと、普通にビジネスケースを出します。こういう経営課題があったときに、どういう風に分解してどういう仮説を立ててどういうリサーチをすればこの問題解けますか、という問題を出します。全く法律問題とは関係なく、です。法律家と言うものはすでに法学的思考というフレームワークを持っているので、それに頼ってしまうわけですね。現実のビジネスは法的な問題に分解できたら、あとは簡単じゃないですか。そこまでにたどり着くのが実はもっとも難しい。特に、法律技術を全く分かっていないような営業の人たちと議論するときもありますから、あえてそういう試験をさせています。

次にあるパターンというのが専門性蓄積型、なんですけれども、自社のコアコンピタンスに直結するノウハウは内製化したほうが良いだろう、ということですね。例えばM&Aなんて頻繁にやらないと言う会社は投資銀行に全部丸投げで良いでしょう。しかし頻繁にM&Aする会社は、例えばJTとかなんですけども、フェアネスオピニオンを取るためにIBTを使うということはあるでしょうけど、投資銀行はあくまでおまけで、ノウハウは全部自分たちで持っているわけです。何故かと言うとそういった業界、自分たちが詳しい業界のM&Aのノウハウを外注して、そのノウハウが流出して普遍化されて、そのノウハウが競合でも使われるというのはあまり面白いことではないでしょう。だから自社のコアコンピタンスに直結する問題は自社内でブラックボックスにした方が良いだろうと言うことですね。法務部にしても、トップの事務所よりも自分たちのコアコンピタンスに関しては、自分たちが1番経験を積んで1番詳しくて、自分たちが1番ルール形成できるはずなんですね。それを外部に丸投げしてしまうのは全く馬鹿げておりまして、ま、特定の事例を元に法律事務所がノウハウを蓄積してですね、それをもとにセミナーか何かやってですね、あーこれウチの事例じゃないか、みたいなことありますよね。これは非常に馬鹿馬鹿しいことでありまして、これは自社内でブラックボックス化したほうがいいなと言うものは積極的に自社内で取り込んでいってしまうべきです。その方が法務の強さが高まっていくわけですし、逆にそうなってくると、何がビジネス側にとってコアコンピタンスなのかを考えなければいけないわけですね。

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第二回に続きます。ご期待ください。