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瀧本哲史の業績と生涯 ~『2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義』発刊に寄せて~ 瀧本孝雄先生からのご寄稿

BOOKS 2020.05.17

 この度、講談社より瀧本哲史著作の新刊本が2020/4/27に発刊されました。『2020630日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義』です。弊社のファウンディングパートナーである瀧本さんの東京大学での伝説の講義をまとめたものです。すでにアマゾンのベストセラー1位を獲得しております。東京大学で行われた講義の臨場感そのままに、瀧本さんの想いが伝わってくる内容になっております。ぜひ、お手にとっていただければと存じます。

 リーガル関係者の皆様にも瀧本さんの生い立ちなども含めて知っていただいたうえで、新刊本にも目を通していただきたいと考え、今回の記事では、瀧本さんのお父様である瀧本孝雄先生に「瀧本さんの業績と生涯」と題して寄稿していただくことになりました。瀧本孝雄先生が瀧本さんについて手記を著され公表されることは今回が初めてになります。瀧本孝雄先生は長らく大学教授として執務され、博学卓識を体現する方です。昨年末より弊社の経営会議に参画いただき、有意義なアドバイスをいただいております。それでは、ご一読くださいますようお願いいたします。

                                代表取締役CEO 野村 慧


瀧本哲史の業績と生涯

                        瀧本孝雄

 私が初めて企業法務革新基盤株式会社代表、野村慧氏にお会いしたのは、昨年の1月のことである。野村さんと私の息子(瀧本哲史)が共同で会社を設立し、その仕事の一部を手伝ってくれと息子に依頼され、昨年11月より非常勤で会議のメンバーに加わるようになった。私は数年前に大学を定年し、現在大学病院で治験の審査やカウンセリング・キャリアコンサルティングの講演、資格試験の試験官などをしている。

 今回、野村さんから私の息子についての原稿を依頼され、弁護士・法務関係の仕事をされている方々にも、お役に立つこともあるであろうと考え、筆を執ることにした。

 私の息子(以下哲史・てつふみと記述する)は、1972122日に生まれ、小学校は市川市にある日の出学園で、その後、中学、高校は港区にある麻布学園に進学した。彼は3歳ぐらいから親類の者や、周りの人から「かしこい、かしこい」と言われていた。小学校時代、彼は読書がかなり好きで、伝記、歴史など多くの分野の本を読んでいた。特に三国志に興味を持ち、軍師諸葛孔明に感銘し、大きな影響を受けた。小学校4年の頃より、六法全書に興味を持ち、自分がリーダーとなって、クラスで勉強会をしていた。その頃から将来は、大学で法律を専攻することを決めていたようである。中学になってから、速読の教室に行くことを勧めたが、2,3か月やって途中で辞めてしまった。高校時代には、オリエンテーリング部に所属いていた。なぜこのサークルに入ったかは分らないが、推理を働かせて何か探すのが好きだったのだろう。高校2年の時、学校の論集に「プロパガンダにおける音楽」を発表している。彼は子供のころから音楽には強い関心を示し、音楽に関する歴史や作曲家についてはかなり詳しかった。

 1990年に東京大学法学部に入学した。大学時代になって、速読に興味を持ちはじめ、自分で別の速読教室に通い始めた。その結果、1冊の本を30分程度で読めるようになり、その後、速読の本も出版している。速読の教室には司法試験の受験者がかなりいたようである。サークルは弁論部に所属した。正式の名称は(第一高等学校・東京大学弁論部)である。ここで、彼が中心になって全国の大学弁論会でのディベートの統一ルールを作った。大学3年の時、私と一緒に中国の成都、重慶に旅行した。四川省社会科学院の私の知人の研究員の案内で、成都の歴史博物館を見学した。そこには三国志に出てくる武将たちの像がいくつも立ち並んでいた。哲史は諸葛孔明の像の前でしばらく立ち止まり、かなり感激しているように私には思えた。

 卒業と同時に同大学院法学政治学研究科内田貴先生の研究室の助手(民法)となった。3年後に退官し、1997年マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社、エレクトロニクス業界のコンサルタントを担当する。2000年から3年間、日本交通の経営再建に取り組む。その後、勝間和代氏らと株式会社監査と分析を設立した。その他、株式会社オトバンク取締役などを務めた。2007年より京都大学産官学連携本部イノベーションマネジメントサイエンス研究部門客員准教授となる。また、全国教室ディベート連盟を立ち上げ、その組織の事務局長になっていた。それまでに多方面で仕事をしてきたが、本人は自分をエンジェル投資家と位置づけていた。 

 2019810日、東京大学病院にて死去した。(享年47歳) その日に看護師から彼は死ぬ前に「無念」だと言っていたと聞かされた。私も「無念」であった。 

 

 哲史は20119月に「僕は君たちに武器を配りたい」講談社と「武器としての決断思考」星海社からの2冊を同時に刊行した。いずれの本も初めての単著で編集者からの要望によって出版されたと聞いている。2冊とも本の題名に『武器』という言葉が入っており、初めは変なタイトルの本を書いたものだと驚いたが、本を読み終えてほっとした。   

 最後の本はこの4月に出版した。「2020630日またここで会おう」20204月星海社 この本は8年前に東京大学で講演したものを、編集者がまとめたものである。8年後に再会を約束したが、それは叶えられなかった。   

 これらの本以外には、星海社から「武器としての交渉思考」2012年、(中国で翻訳される)、講談社から「君に友だちはいらない」2013年、「ミライの授業」2016年、新潮社から「戦略がすべて」2015年、集英社から「読書は格闘技」2016年、またNHK出版から『ZERO to ONE』ピーター・ティール著 日本語版序文担当2014年などが出版された。また、「僕は若手弁護士に武器を配りたい」を大阪弁護士会、広報誌20148月号に掲載している。これら以外にも、数社の雑誌で連載を書いている。

 20124月から2年間NHKNEWS WEB 24」に毎週火曜日レギュラーとして、世界の政治や経済等についてコメントしている。また、NHKの「ニッポンのジレンマ」や民放テレビでゲストコメンテーターとしても登場している。NHKでは、論説委員として2回ほど「日本の将来」、「世界の将来」について解説している。死亡した時には、NHKのニュースや主要新聞の死亡欄にも載った。

この810日に1周忌を迎える。

                                            以上

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<他の記事>
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弊社代表取締役CEO野村慧が、大手渉外法律事務所の所内研修にて講演いたしました。
https://lawplatform.co.jp/medianews/2020/01/ceo/

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