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「法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響続編Vol.1 森・濱田松本法律事務所のコメント前編」

REPORTS 2020.05.20

 企業法務革新基盤株式会社の代表取締役の野村でございます。弁護士・法務人材の方からご要望いただき、本年54日に『法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響』と題した記事を掲載したところ、大きな反響をいただきました。クライアントから送っていただきましたメール・DMの内容を拝見すると、興味深いご意見が多く含まれておりました。具体的には、記事に対してのご感想のみならず、ご自身のリーガルマーケットの見立てや今後の法律事務所/企業内法務の在り方といった非常に示唆に富むものでした。

 各種SNS等では、コロナ禍とリーガルマーケットに関するさまざまな意見が発信されておりますが、現在のリーガルマーケットを牽引しているリーダーたちの発信を見ることは難しいのが実態です。一方で、今回のコロナ危機は、司法試験の延期実施が決断されるなどまさに未曽有の事態であり、企業法務人材・弁護士・司法修習生・司法試験受験生としては、キャリア戦略や法務部・法律事務所の在り方について再考を迫られていることと推察されます。このような状況下でリーガルマーケットを牽引するリーダーたちがいかなる視点で現在のコロナ禍を捉え、いかなる未来を志向しているかを知ることは、平時以上に重要であるといえましょう。 

 リーガルマーケットのリーダーたちのご意見を共有することは、将来におけるリーガルマーケットの発展に寄与するものと考えます。そこで、当職とリーダーの方々との個人的DM・議論の一部を公開させて頂けないかと打診を致しましたところ、皆様からご快諾を賜りました。皆様におかれましては、心より御礼申し上げます。

 今回のシリーズで連載させて頂きますのは、法律事務所・弁護士・法務管掌役員・企業内法務部の管理職の方からの忌憚のないご意見です。豪華メンバー10名以上が非公式かつ個人的見解として述べるからこそ見えるものがあります。公式のインタビュー記事では見えない世界がそこにはあります。弁護士・法務人材の方はもちろんのこと、企業内法務部をもつすべての経営者の方にとって示唆に富んだ内容であることでしょう。ご期待ください。

 それでは、本題に入ります。本日は、森・濱田松本法律事務所から頂いたコメントを掲載いたします。

「・今般のコロナ禍が日本経済や企業法務サービスの需要にどのような影響を及ぼすかは、未だ不明であるが、2020年後半から2021年にかけては、かなりネガティブなインパクトがあるのではないかという悲観的な見方があるのも事実だ。そのため、大きな投資を行いにくい環境になっているようにも見える。 

・しかし、特に大手法律事務所における弁護士採用は、中長期的な組織作りの視点に立って計画的に行われているのが実態であろう。そのため、コロナ禍により採用方針が大きく変動することは考えにくい。司法試験が延期されたため、学生の受験準備の妨げとならないよう採用活動も延期しているが、司法試験が実施され次第、例年どおりの採用活動が再開されるだろう。

・大手法律事務所におけるマーケティングやプラクティスに関する指摘は大体その通りと思う。優秀なラテラル人材が放出されるのであれば、上記の新人採用と同様の中長期的な視点に基づき、積極的に採用を検討していく。」
(森・濱田松本法律事務所)

(当職による解説)
 森・濱田松本法律事務所は、海外拠点で執務する弁護士(日本法に限られない)が日系法律事務所のなかでトップに位置づけられ、実に約130名に達している(2020年2月時点、弊社調べ)。これだけの海外展開を進めることができたのは、タイのChandler買収が成功したことが影響している。リーガル関係者であればご存知と思われるが、2015年にバンコクオフィスを開設した森・濱田松本法律事務所は、2017年にタイのローカル事務所であるChandlerを相手に友好的なM&Aを成功させた。現在、Chandler MHM Limitedのランクは、Tier1に位置づけられる。また、国内でも近年拠点を増加させている。直近では、2020年4大法律事務所で初の四国進出を果たし、高松オフィスを開設した。東京、大阪、名古屋、福岡、高松と国内5拠点となった。
 一般的にはこれだけの拠点・人数を抱えることは固定費を急増させ経営を圧迫するのではないかとも考えられる。しかし、森・濱田松本法律事務所においては、各ブランチの売上は順調に伸びており、そのなかで海外拠点数の増加を進めているため、当職は手堅いと見ている。アジア拠点も自律的に収益を上げる体制が整っており、コロナ禍であっても固定費に押しつぶされるようなことはないだろう。
 リーマンショックの際には、グローバル展開していた外資系法律事務所の中には解散に追い込まれた事例がある。しかし、その内実を見ると偏ったポートフォリオ戦略や拠点展開を優先させ、各拠点の自律的なマネタイズを怠ったことが要因となっているのである。森・濱田松本法律事務所の現在の海外展開とは大きく性質が異なる。

 続きは「法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響続編Vol.1 森・濱田松本法律事務所のコメント後編」となります。
 https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/05/vol1_1/


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