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「法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響続編Vol.4  AsiaWise法律事務所 久保光太郎代表弁護士のコメント後編」

REPORTS 2020.05.26

前編中編は以下URLからご覧ください

前編 https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/05/vol4_asiawise/

中編 https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/05/vol4_asiawise_1/

「現在進行中のクロスボーダーM&A案件では、一度も対象会社のオフィスに行かずに、すべてオンライン上で案件が完結しています。」とのコメントを見て、これからの時代を象徴するような事実だと感じた。

 MAをドメスティック、クロスボーダーと2つに大別すると、母国語が同じでかつ文化の共通性を持つ国内企業同士ならまだしも、クロスボーダーMAは、言語も文化も教育も異なる人間で構成される企業同士がコミュニケーションしながらクロージングに向かうわけであるから、より「会う」コミュニケーションが必要になるはずだと考えていたが、すべてを対象会社のオフィスに行かずにオンラインで完結する時代になったのかと思ったわけだ。プラクティスの内容は変化し、サービスの提供方法も変化していくということだ。差別化要因は、プラクティスだけではないということを示している。

「これにあわせて、法律事務所自体も、特にクロスボーダー領域では変わっていくと思います。AsiaWiseでは2月中旬からスタッフを含め完全リモートワークに切り換えました。」 
 2月中旬から完全リモートに切り替えたというのは、日本の企業法務系法律事務所の中でも私の知る限りでは最速に近い。久保弁護士はAsiaWise法律事務所を設立したときに、基本ペーパーレスという方針を採用していたことが、これだけの速い段階でのフォーメーションの変更を可能にしたといえる。このことから何を学べるだろうか。当職は、創業時の理念や理念に基づく業務フローの構築に普遍性があるか、ということが重要だということを学ぶ。現代のテクノロジーを前提にしたときに、我々の業務に紙がそもそも必要か、というと原則不要だ。私もこの原稿を書きながら一切紙は使用していない。リーガルサービスに紙が必要であるという考えは、我々のバイアスの可能性があるのかもしれない。このように考えると、すべてをゼロから普遍性の視点で捉えなおし、現実に実装していくことは経営において重要な視点だろう。あるいは、テクノロジーが普遍性を浮き彫りにすると言えるのかもしれない。

「また、ウェビナーも積極的に行っています。新しい取組みは試行錯誤の連続ですが、ベンチャー精神をもった中小ファームには逆にチャンスだと思います。」とのコメントは、巨体でない中小ファームの意思決定のスピードの速さが競争優位性になりうることを示す。企業法務系法律事務所のほとんどは、中小ファームだ。中小ファームだからこそできることがあると、多くの経営パートナーは考えているのではないかと思う。そのなかから将来日本のリーガル業界を牽引するリーダーが現れることは必然だと信じている。そんなドラマを微力ながら支援したいと心から思う。ファウンディングパートナーの瀧本さんも生きていれば同じことを口にしていただろう。

「今後はアフター・コロナの世界で社会実装されたテクノロジーやビジネス・モデルをいかに取り入れていくかが課題になると思います。いっときは落ち込むにせよ、スタートアップに対する投資案件や、データを使った新規ビジネスに関する法律問題に注目していきたいと思っています。」と課題と今後の進む方向性を記載されている。

 まず前段で、久保弁護士は、社会実装されたテクノロジーやビジネス・モデルを取り入れることが課題であると指摘される。テクノロジーの活用と新しいビジネス・モデルを理解しかつ取り入れていくことの必要性を示しているが、このことは法律事務所だけではなく、企業内法務部にも当てはまる課題だ。チェック用として以下に記載する。答えられるだろうか?現在リーダーである方はもちろんのこと、リーダーではない方でも自分事として考えることが重要だろう。

・テクノロジーの活用をいかに進めていくかのロードマップの有無、内容、精緻さ等のチェック

・クライアントの今後のビジネス・モデルの変化の仮説構築と各仮説にいかなるサービスを提供するかのチェック

 後段では、「スタートアップに対する投資案件や、データを使った新規ビジネスに関する法律問題に注目」と注力するプラクティスを示していると解される。今後も目が離せない法律事務所だ。まずますのご発展、そしてリーガル業界を革新する一翼を担われると確信している。

第五回は、日本オラクル代表執行役 最高法務責任者 金子忠浩氏からのコメントです。529日に掲載予定となります。ご期待ください。

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