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「法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響続編Vol.5 日本オラクル株式会社 代表執行役 最高法務責任者 金子忠浩氏のコメント中編」

REPORTS 2020.05.29

前編
https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/05/vol5/

 それでは、金子氏のコメントの解説に入りたい。短くも密度の高い文章であるため、解説しきれるかは、はなはだ疑問であるが試みることとする。

「今般のCOVID−19では、組織や個人の「環境」対応の間断なき必要性を、改めて認識した次第です。」と述べ、組織単位でも個人単位でも「環境」対応する必要性があると指摘している。かかる指摘は、後に続く「進化論」という表現と併せて理解する必要があるだろう。「進化論」の視点から、「環境」対応をしない組織や個人は、生存競争から振り落とされることを示唆しているものと拝察する。このことは、平時にももちろん当てはまることであるが、コロナ禍を通して観察することで、常に変化し続けることが常であることを私たちの眼前に突き付ける。本連載に通底しているテーマである。常に変化を求められる、変化を受容する。間断なき対応の努力を一人一人にどう浸透させるか。浸透プロセスでは、何が機能し、何が機能していないか、を批判的に判断し、市場差別化要因を特定、活用することが強いられる。そのことは、強いストレスを感じることであるが、変革すること、変化することを恐れてはいけない。さらに、絶えず再検討、再構築を図り、磨き尖らせなければならない。そして、このサイクルが常態化してくると、「環境」に適応することが当たり前になるのだろう。そのフェーズまで組織のリーダーは持っていく必要があろう。実に至難の技であるが。
 
 「環境」対応の間断なき必要性は、金子氏のキャリアを振り返るとまさに当てはまるのではないかと思う。先に述べた通り、職場を変えながら、常に当該組織で「初」の役職を務めあげていくことを「環境」対応と言い換えることができる。もちろん1社で勤め上げる方も社内転職や役割の変更のなかで常に「環境」適応をされているとは思うが、日系企業から外資系企業、そして、経営層で意思決定に従事してきたその道程はまさに意思決定の連続であり、決断を求められた事象は想像もつかない程多いだろう。かかる経験を基礎に金子氏は「間断」という言葉の選択をしていると拝察する。ここで何を感じるかは読者の皆様の感性に任せたいと思う。
 
 ここで意思決定について少し考えてみたい。法務業界では、経営の意思決定に寄り添う法務といった表現で、法務のバリューを上げることを目指すという言及が多い。当職はこの点について異存はないのだが、一点いつも考えることがある。そもそも意思決定に寄り添うというのは、意思決定を知るものにしかできないのではないかと思うのだ。そもそも意思決定が何かを知らないものが意思決定に寄り添うことができるのだろうか。意思決定という言葉は4文字であり、言うのは簡単だが、不確実な未来に対して意思決定をすることは当事者に相当な恐怖をもたらす。余程の覚悟がなければ出来ることではない。その覚悟と恐怖を心から共有しない人に、「意思決定に寄り添っているよ」と言われたとしたら、皆様はどう思うだろうか。経営者が抱える孤独を本当に理解しているのだろうかと言わざるを得ない。当職は、企業法務系法律事務所や法務部に対して組織コンサルテイングも提供させていただいているだが、その時に強く意識しているのは、クライアントの課題を本当に自己の苦しみとして身体に取り込めているだろうかということだ。もちろん現実には無理な話であるのだが、そこまで考えて仕事をしているだろうかと問いかけなければならないと思う。意思決定に寄り添うという言葉を自分の取り組み方で本当に言っていいのか、自分を守る姿勢がそこにあるなら、それは、安全地帯から腰が引けた人間が、危険地帯に入り勝負をしている意思決定者に知識知恵を提供しているにすぎず、寄り添っているとは言えないと考えている。この点は、余程意識しないとサービス提供者が陥りやすい落とし穴だと思う。受け取る側には手に取るようにその姿勢はわかるものだ。人の課題を解決するために仕事をしているはずが、自分を守ることをベースにその範囲内で仕事をするということに陥る。ミイラとりがミイラになることと類似した話だ。この話は、当職の日頃の葛藤をさらけ出すようで読者の皆様にはいい迷惑かもしれない。ただ、法務から経営法務に脱皮し経営者に真に信頼されるかどうかの分水嶺ではなかろうか。

 続きは、「法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響続編Vol.5 日本オラクル株式会社 代表執行役 最高法務責任者 金子忠浩氏のコメント後編」となります。

後編は、以下URLからご覧ください。
https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/05/vol5_2/

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