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「法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響続編Vol.6 双日株式会社執行役員 法務、広報担当本部長 守田達也氏のコメント中編」

REPORTS 2020.05.31

前編
https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/05/vol6/

 さて、コメントの解説に入ろう。
「企業の法務人材採用、流動化には一定期間悪影響がでるのは避けられない」と指摘されている。この中で重要なことは、「一定期間」と「悪影響」の解釈であろう。「一定期間」とはどれほどの期間を意味するのか(横軸)、「悪影響」の程度はどれほどか(縦軸)と整理することができる。守田氏の肌感覚を読者は知りたいはずだ。まもなく『新型コロナ危機下の企業法務部門』(経営法友会編、商事法務)という書籍が出版されるのだが、守田氏は執筆者の一人だ。先日ご連絡があり当該書籍執筆にあたりコロナ禍とリーガル人材マーケットについて意見交換をしたいとのことで、1時間ほど討議させていただいた。その際に、「一定期間」と「悪影響」の守田氏の肌感覚が伝わってきた。それが、次のコメントに出てくる。

「企業における法務の地位向上、法務人材獲得の重要性が認識された現状下、早期にリバウンドする可能性も十分にあると考えております。」だ。「一定期間」については、「早期に」と表現している。「悪影響」については、「リバウンド」と表現されている。

 まず、前者の「一定期間」については、予想よりも短いというニュアンスを含むと読めるし、会議の際もそのような認識だったと理解している。この肌感覚は、当職も同様なのだ。5月6日の時点で緊急事態宣言から1ヶ月経過したものの、緊急事態宣言は延長された。しかし、リーガル人材マーケットは活発に動きだしていた。選考を再開した企業が多かったように思う。当該解説は、5月30日に著しているが、本日時点では、さらに活発になっている。コロナ禍前の8割程度の水準には戻ってきた印象だ。当職はむしろ忙しくなっているくらいだ。

 次に、後者の「リバウンド」と表現されている点についてはどうだろうか。リバウンドとは、急激に跳ね返るというニュアンスが含まれた言葉だ。これを前提に考えるに、「悪影響」の程度は一時的に深くなるものの回復の勢いも強いのではないかという肌感覚が伝わってくる。大事なのは、それが真実であるとかないとかではなく(そもそも今の時点でこれから起こる世の事象をすべて正確に理解している人などいない)、守田氏の視点から見るとそう感じられるということだ。いかなる状況下でも意思決定するのは人間だ。数字だけではなく、人間の感覚というものは、意思決定に影響せざるを得ない。ちなみに、「リバウンド」について当職も同様の感覚を持っている。

 コロナ禍でもなぜこのように考えるのかということが「企業における法務の地位向上、法務人材獲得の重要性が認識された現状下」というコメントに示される。「企業における法務の地位向上」と「法務人材獲得の重要性」が認識されたことで、企業法務のニーズは底堅いということを示している。上記コメントで「認識された」と指摘する。「認識された」ということは、認識が進んできた歴史を示していると解される。日本の法務部の歴史を振り返ると、昭和時代の法務組織は、文書課や総務部法務課という名称が一般的であり、平成時代に部格にあがってきた会社が多い。考えてみれば、昨今のベンチャーは、従業員数十名規模でも法務部を設置するなど、会社の大小にかかわらず法務部を置くことがスタンダードになってきている。これは大きな変化である。大企業だけが法務部を持つとは限らない時代になったということだ。今は当たり前に感じるが、10年前までは普通ではなかったのだ。それほど、この10年でリーガルニーズは増大したし、法務組織の地位は向上した。そういった歴史の流れを鑑みると、企業法務マーケットはいまだ草創期だと解している。まだまだ、リーガルニーズは増加するということだ。こういった理解を下に考えると、「早期にリバウンドする可能性も十分ある」という背景が理解できよう。

 後編は、以下URLからご覧ください。
https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/05/vol6_2/

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