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IPBL AWARD2020 L-STAR(女性弁護士部門) 阿部・井窪・片山法律事務所 1/2

REPORTS 2020.11.10

弊社ではIPBL AWARDと題し、卓越した法律事務所を表彰させていただく取り組みを行っております。既報の通り、20201月時点において弁護士数上位50法律事務所を対象に女性弁護士比率を調査しましたところ、阿部・井窪・片山法律事務所が34.8%で第一位という結果になりました。企業法務系法律事務所としてトップを走ることと多様な働き方の両立はプロファームのモデル上実現困難であると諦めている方も少なくありません。名門法律事務所である阿部・井窪・片山法律事務所が女性比率ランキングのトップにいることは、かかる通念を覆すファクトであり、重要なメッセージであると考えています。阿部・井窪・片山法律事務所が老舗でありながら、常に多様な角度から先進的な挑戦をされてきたことが伺えます。

そこでこのたび、IPBL AWARD L-STAR(女性弁護士部門)の表彰、およびインタビューをさせていただきました。阿部・井窪・片山法律事務所からは、片山英二弁護士、日野真美弁理士・外国法事務弁護士、江幡奈歩弁護士、中村閑弁護士、上坂望弁護士の五名の先生方のご出席を賜りました(インタビュアーは弊社代表野村とコンサルタント萩原)

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野村「今回は、弊社調査に基づき、中規模以上の法律事務所で女性比率が最も高い事務所として、IPBL AWARD L-STARを表彰させて頂きました。事務所内での女性比率に対する認識をお聞かせ願えますか。」

江幡先生 「当事務所は女性が多いとの認識はありましたが、中規模以上の法律事務所で女性比率が最も高いとは初めて知りました。IPBL AWARD L-STAR(女性弁護士部門)の表彰をいただき大変光栄です。52期以降は、基本的に採用の度に女性が入所しており、残っている率も高いと思います。手前味噌ですが、働きやすい良い事務所だと思います。」

野村 「そういう感覚があるんですね。本日はそれを思う存分語って頂きたいと思います。」

採用について

萩原 「まず女性弁護士の採用からお伺いしたいと思います。貴所では、52期以降の各期の弁護士の男女比率が、ほぼ11となっています。これは異例なことです。意識的に比率が均等になるように採用されているのでしょうか。」

片山先生 「基本は能力と人柄で採っています。男女比は意識していますが、強く意識している訳ではありません。どちらかに完全に偏ってしまうというのはよくないですが、バランスがとれた方が良いよね、という程度の感覚です。」

萩原 「知財部門も女性比率が高くなっていますが、これも意識的なものではないのでしょうか?」

日野先生 「知財部門も、たまたま女性比率が高いです。全く意識的にしているわけではなく、優秀な人を取ろうとしたら自然とそうなった、という感じですね。所内の全体的な雰囲気として、女性も働きやすいです。」

萩原「採用時の発想についてもお伺いできますか。」

片山先生「新人を採用する時の考え方が大手の事務所とかなり違う気がしています。我々の事務所はどちらかと言えば厳選採用ですが、いったん入ってもらったら出来れば最後まで居て欲しいと思っています。考え方次第だとは思いますが、少なくとも長時間働いている中で、後ろから弾が飛んでくるのは嫌だよねと。そこは安心していただきたい。修習生が来た際に、我々の事務所のモットーは家族主義であると話しています。何かのご縁があって一緒に働くわけだから、家族の一員として遇するべきではないか、という事です。そうだとすると、早く成長する人とそうでない人が当然出てくる。でも弁護士の場合、早く成長したからといって、必ずしも大物になるとは限らない。本当に重要な場面で力を発揮する、大企業の経営陣がこの人の意見を聞きたい、と言われる弁護士は必ずしも早く成長した弁護士であると限らない。そうだとすると、じっくり育ってほしい。長い目で見て、ひとかどの弁護士になってほしい、というコンセプトで採っています。」

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女性の働き方

野村 「そうすると、意図的に女性比率を入口で上げているわけではないのですね。ということは、定着・育成が女性比率を上げていくうえで効果があったという事なんでしょうか。」

江幡先生 「他の事務所と違うところとしては、いわゆるマミートラックがないことが挙げられるかもしれません。一部の事務所の話を伺うと、もしかしたら違うのかもしれませんが、子どもを持つ女性の働き方として100%以上の力を出してバリバリ仕事をするのか、お母さんとしての自分に中心を置くか、の二者択一を迫られるように思います。当事務所の場合は、日野弁理士の産休が契機かと思います。当時は先例がないことでしたが、しばらく産休育休を取って、復帰してからは頑張って働いて下さったんですね。そうすると所内で、出産しても大丈夫なんだ、という雰囲気が出来上がったんです。」

江幡先生 「それまで皆が革新的な考えを持っていたわけではありませんが、日野が、子供がいても、家庭があっても特段デメリットがないことを示してくれたのです。」

日野先生 「子供がいても、もう君はそんなに働かなくていいよとならずに、仕事をすることを期待されたので、いい意味でありがたい状況でした。今もそれは続いていて、みんな子どもを産んでも仕事することを当然に期待するし、期待に応えています。」

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野村 「パートナーの先生の考えの本音として、不確実性が高まる今の時代において、労働時間も工数も減少する一方で、組織を維持するために固定費は必ずかかるわけです。そんな中で、雇うには男性の方が正直いいんだよね、ということが言われたりするんですね。当然ですがそういう捉え方はされてないわけですね。」

片山先生 「男の方が使い勝手がいいよね、とは思わないですね。女性弁護士は、特にお子さんが出来た後にものすごい努力をされていると思うんですよ。頭が下がることがありますね。」

日野先生 「これは先ほど申し上げたのと裏返しの話で、君には期待しない、とされるより、期待されているので、期待に応えたいと思うようになるんですね。」

萩原 「次に育成の側面からお伺いしたいと思います。貴所では2015年末以降弁護士の離職が発生していないと伺っております。これも本当に例外的で、素晴らしいことです。男女どちらも離職がないのですが、特に女性弁護士の離職率の低さについてお聞きしたいと思います。よく問題になるのが、休職中の案件のアカウントの問題です。その点はどのような設計・発想があるのでしょうか。」

日野先生 「元々システムがあってそこに無理やり合わせるのではなくて、困った状況になったら仕事が出来るようにするにはどうすればいいか、という事を一緒に考えていくようにしています。皆さんそれぞれ少しずつ状況が違いますが、必ず優秀だし帰ってきたらまた一緒に仕事ができるということはわかっているので、じゃあその間辞めないで続けられるにはどうすれば良いかな、ということを一緒に考えるような形です。」

江幡先生 「私は家庭の事情で3年以上休職したのですが、お客様に関しては、長期の休職が分かった時点で、このお客様にはどの弁護士が合うか、ということを考えて、引継ぎをお願いしました。ありがたいことに、そのお客様には今もご依頼いただいています。その間面倒を見てくれて、自分のブランクを支えてくれた同僚には感謝しています。育児だけに限らず、先々は病気とか介護とかの問題が出てくるかもしれません。毎年の収益を取り合うような短期的な発想でなければ、長い目で見て、家族主義的な助け合いの発想で、それぞれの問題や状況を乗り越えられるようにできるのではないか、と思っています。」

IPBL AWARD2020 女性弁護士部門 阿部・井窪・片山法律事務所 2/2」に続きます。以下のURLからご覧ください。

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