Books & Reports

書籍とリポートについて

2023年法律事務所ランキング100&外国法事務弁護士数ランキングPresented by企業法務革新基盤

REPORTS 2023.07.19

 企業法務革新基盤株式会社は、2023年3月時点における日本の各法律事務所の弁護士数、女性比率などを調査いたしました。本記事においては、弁護士数上位100法律事務所についての解説を行います。同率が存在するため、102事務所(弁護士数23名以上)がランクインしています。  

 本年は、弊社セミナー『2023年 法律事務所規模・女性弁護士数ランキングを読み解く』を開催いたします。法律事務所の規模と女性弁護士数についての動向と、かかる動向を駆動する背景事情、そしてそこから導出される経営論点について、解説を行います。法律事務所の経営に従事されているパートナーの方々、企業内法務部において弁護士の採用を目指す方々、法律事務所の動向からを考慮したうえでご自身のキャリアプランの設計に関心のある中堅ないし若手弁護士、司法修習生、法科大学院生、大学生の方々にとって、経営・キャリア設計の指針となり得るセミナーとなります。

 詳細は以下URLよりご確認ください。
 https://lawplatform.co.jp/medianews/2023/06/2023_202372018001900/

 規模論は、法律事務所経営における肝要な論点です。人数規模は、売り上げ、世代継承、プラクティスエリアの多様性や厚みなどの多様な論点と関連しており、組織としての永続性と深く関わる要素であると考えられます。なお、本ランキングに入らないような少数精鋭でクライアントからの圧倒的な信頼を得る法律事務所が数多く存在すること、さらに規模と実力が必ずしも一対一対応するわけではないことは言うまでもありません。  

以下が、2023年3月時点における、法律事務所規模ランキングです。

順位 事務所名 弁護士数 75期
弁護士数
弁護士数
変化
昨年比
成長率(%)
1 西村あさひ法律事務所 663 40 15 2.31
2 アンダーソン・毛利・友常法律事務所 583 54 44 8.16
3 森・濱田松本法律事務所 567 41 36 6.78
4 TMI総合法律事務所 566 35 30 5.60
5 長島・大野・常松法律事務所 539 40 13 2.47
6 ベリーベスト法律事務所 384 61 38 10.98
7 弁護士法人アディーレ法律事務所 236 16 13 5.83
8 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 196 7 10 5.38
9 シティユーワ法律事務所 180 7 13 7.78
10 弁護士法人大江橋法律事務所 167 11 11 7.05
11 ベーカー&マッケンジー法律事務所外国法共同事業 145 8 8 5.84
12 弁護士法人ALG&Associates 96 18 8 9.09
12 北浜法律事務所・外国法共同事業 96 6 -1 ▲ 1.03
14 弁護士法人御堂筋法律事務所 93 5 5 5.68
14 虎ノ門法律経済事務所 93 5 -2 ▲ 2.11
16 岩田合同法律事務所 85 4 -1 ▲ 1.16
17 三浦法律事務所 78 2 6 8.33
18 モリソン・フォースター法律事務所 75 2 -5 ▲ 6.25
19 弁護士法人淀屋橋・山上合同 72 6 6 9.09
20 Authense法律事務所 65 4 -1 ▲ 1.52
21 弁護士法人中央総合法律事務所 63 7 6 10.53
22 岡野法律事務所 61 6 17 38.64
22 牛島総合法律事務所 61 6 6 10.91
24 桃尾・松尾・難波法律事務所 54 3 1 1.89
25 阿部・井窪・片山法律事務所 52 3 1 1.96
25 東京丸の内法律事務所 52 1 1 1.96
27 田辺総合法律事務所 51 4 3 6.25
28 島田法律事務所 48 3 3 6.67
29 弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所 47 1 -4 ▲ 7.84
30 光和総合法律事務所 46 1 1 2.22
30 弁護士法人大西総合法律事務所 46 4 4 9.52
30 弁護士法人心 46 0 -2 ▲ 4.17
30 弁護士法人三宅法律事務所 46 2 1 2.22
30 AZX総合法律事務所 46 7 5 12.20
35 のぞみ総合法律事務所 45 2 3 7.14
36 弁護士法人響 44 9 9 25.71
37 T&K法律事務所 43 4 10 30.30
37 弁護士法人愛知総合法律事務所 43 3 1 2.38
39 DT弁護士法人 42 5 10 31.25
39 弁護士法人朝日中央綜合法律事務所 42 5 3 7.69
41 虎門中央法律事務所 41 3 2 5.13
41 弁護士法人第一法律事務所 41 1 2 5.13
43 あさひ法律事務所 40 2 -1 ▲ 2.44
43 松田綜合法律事務所 40 2 4 11.11
45 片岡総合法律事務所 37 3 2 5.71
45 鳥飼総合法律事務所 37 2 -1 ▲ 2.63
45 三宅坂総合法律事務所 37 0 0 0.00
48 法律事務所ZeLo・外国法共同事業 36 2 6 20.00
48 法律事務所ASCOPE 36 4 1 2.86
48 ひかり総合法律事務所 36 2 1 2.86
51 賢誠総合法律事務所 35 2 8 29.63
51 外国法共同事業法律事務所リンクレーターズ 35 2 2 6.06
51 東京法律事務所 35 0 0 0.00
51 石嵜・山中総合法律事務所 35 3 0 0.00
51 協和綜合法律事務所 35 2 2 6.06
56 原後綜合法律事務所 34 0 -1 ▲ 2.86
56 ホワイト&ケース法律事務所・外国法事務弁護士法人 34 1 -5 ▲ 12.82
56 早稲田リーガルコモンズ法律事務所 34 2 7 25.93
59 弁護士法人キャストグローバル 33 4 2 6.45
59 クリフォードチャンス法律事務所外国法共同事業 33 2 -2 ▲ 5.71
59 奧野総合法律事務所 33 3 2 6.45
59 弁護士法人内田・鮫島法律事務所 33 2 2 6.45
59 さくら共同法律事務所 33 0 0 0.00
59 柳田国際法律事務所 33 3 3 10.00
59 きっかわ法律事務所 33 1 0 0.00
66 弁護士法人梅ヶ枝中央法律事務所 32 2 0 0.00
66 弁護士法人関西法律特許事務所 32 3 3 10.34
66 弁護士法人ほくと総合法律事務所 32 2 3 10.34
69 名古屋第一法律事務所 31 2 1 3.33
69 ネクスパート法律事務所 31 2 -3 ▲ 8.82
71 弁護士法人GVA法律事務所 29 5 -3 ▲ 9.38
71 鴻和法律事務所 29 1 1 3.57
71 旬報法律事務所 29 1 0 0.00
71 堂島法律事務所 29 0 0 0.00
71 弁護士法人琥珀法律事務所 29 1 -3 ▲ 9.38
71 弁護士法人一新総合法律事務所 29 1 0 0.00
71 隼あすか法律事務所 29 1 -4 ▲ 12.12
71 弁護士法人One Asia 29 1 0 0.00
79 稲葉総合法律事務所 28 3 1 3.70
79 梅田総合法律事務所 28 0 -1 ▲ 3.45
79 名城法律事務所 28 0 0 0.00
79 弁護士法人泉総合法律事務所 28 0 -14 ▲ 33.33
83 丸の内総合法律事務所 27 0 -3 ▲ 10.00
83 弁護士法人プロテクトスタンス 27 0 -1 ▲ 3.57
85 紀尾井町法律事務所 26 1 0 0.00
85 東京八丁堀法律事務所 26 0 -1 ▲ 3.70
87 ディーエルエイ・パイパー東京パートナーシップ外国法共同事業法律事務所 25 2 2 8.70
87 色川法律事務所 25 0 -1 ▲ 3.85
87 明倫国際法律事務所 25 0 0 0.00
87 弁護士法人東京新宿法律事務所 25 3 3 13.64
87 弁護士法人東町法律事務所 25 0 -2 ▲ 7.41
92 半蔵門総合法律事務所 24 1 0 0.00
92 城北法律事務所 24 0 0 0.00
92 奥・片山・佐藤法律事務所 24 0 0 0.00
92 新麹町法律事務所 24 0 0 0.00
96 潮見坂綜合法律事務所 23 1 2 9.52
96 PwC弁護士法人 23 0 2 9.52
96 東京新生法律事務所 23 0 0 0.00
96 横浜綜合法律事務所 23 0 -1 ▲ 4.17
96 弁護士法人港国際法律事務所 23 0 -2 ▲ 8.00
96 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 23 0 4 21.05
・2023年3月、企業法務革新基盤株式会社調べ。事務所名には主たる事務所の名称を記載しております。
・本図表について、その一部又は全部につき、企業法務革新基盤株式会社に無断で転載、掲載することを禁止します。

 まず、弁護士数100名以上の法律事務所、計11事務所について議論します。このセグメントでは、昨年比で全ての法律事務所が規模を拡大し、昨年比での成長率の中央値は+ 6.3%となっております。弁護士数の増加で最大となったのは、アンダーソン・毛利・友常法律事務所であり、特に修習生採用は54名と、過去三年間の五大法律事務所の修習生採用では最大の数値となっております。  

 さらに、分析の時間軸を伸ばし、かつ他の事務所との相対化を行うことで、これら11事務所の動向がより明瞭に観察されます。具体的な数値については弊社セミナーにて議論いたしますが、これら事務所の動態は、法律事務所のポジション戦略に重要な意味を持ちます。

 また、詳細なデータからは、成長規模についての速度論も見えてきます。例えば、データを見ると、あるパターン性を持った、法律事務所の成長速度の不可逆性が示唆されております。他方では、急速な拡大を安易に成長のシグナルと捉えることの危険性も示唆されます。  

 以上から見えてくるのは、持続性の高い、安定的な成長率とは如何なるものであるか、適正な拡大にとっての必要条件とは何か、など、無数の問いです。弊社では、このような問いに向き合い続け、リーガルマーケット全体の進化に貢献する所存です。  

 続いて、50-100名規模の法律事務所について議論します。昨年比では、該当する17事務所中12事務所で弁護士が増加しており、対して5事務所では弁護士数が減少したもののその減少幅は小さくなっております。数値をより詳細に分析しても、当該セグメントも拡大傾向にあると解釈されます。 詳細はセミナーにて議論いたしますが、当該セグメントは、規模の観点では下からの突き上げを受けている、と評することもできます。そして、その数値を所与としたとき、弁護士数50-100名の法律事務所における規模論も、興味深い論点です。この規模で、安定的な採用を行うための要件とは如何なるものか。規模の変化が、キャリアプランやリテンションの要件を変容させることにも留意が必要です。  

 23-49名規模の法律事務所について議論します。このセグメントでは、ミクロでは増減・維持はありますが、マクロでみると拡大方向に着実に動いている、という動態が浮かび上がってきます。マクロの動態は、セミナーにて議論するように、データ無くしては把握が困難な事象です。 なお、2020年の100事務所で、弁護士数20%減以上となった事務所も存在し、その数は一桁後半台となっています。  

 ここまで、法律事務所の規模をセグメントに分け、セグメントごとの動向と、各動向を所与としたときに法律事務所が考慮すべき戦略論を展開して参りました。次の論点となるのは、セグメントの動向の背景に存在するメカニズムについての議論です。 弊社セミナー、『法律事務所規模・女性弁護士数ランキングを読み解く』では、セグメントの動向、それを駆動する背景、それらから演繹される法律事務所・企業内法務部における経営戦略の論点について議論をいたします。  

 次に、弁護士数上位100法律事務所の外国法事務弁護士数ランキングをご紹介します。弊社が調べる限り、当ランキングは日本で初めてのものとなります。

順位 事務所名 外国法事務弁護士数 外国法弁護士比率(%) 全弁護士数
1 モリソン・フォースター法律事務所 24 32.00 75
2 アンダーソン・毛利・友常法律事務所 16 2.74 583
3 ベーカー&マッケンジー法律事務所外国法共同事業 15 10.34 145
4 西村あさひ法律事務所 12 1.81 663
5 森・濱田松本法律事務所 9 1.59 567
6 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 9 4.59 196
7 ホワイト&ケース法律事務所・外国法事務弁護士法人 9 26.47 34
8 TMI総合法律事務所 8 1.41 566
9 長島・大野・常松法律事務所 7 1.30 539
10 弁護士法人大江橋法律事務所 6 3.59 167
10 外国法共同事業法律事務所リンクレーターズ 6 17.14 35
10 クリフォードチャンス法律事務所外国法共同事業 6 18.18 33
10 ディーエルエイ・パイパー東京パートナーシップ外国法共同事業法律事務所 6 24.00 25
14 弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所 4 8.51 47
・2023年3月、企業法務革新基盤株式会社調べ。事務所名には主たる事務所の名称を記載しております。
・本図表について、その一部又は全部につき、企業法務革新基盤株式会社に無断で転載、掲載することを禁止します。

 外国法事務弁護士数10名以上となったのは、102事務所中で4事務所でした。モリソン・フォースター法律事務所が数・比率ともにトップであり、数ではアンダーソン・毛利・友常法律事務所、比率ではホワイト&ケース法律事務所・外国法事務弁護士法人が続きました。外資系と呼ばれる法律事務所の中でも、外国法事務弁護士の比率には差が見られます。これは各事務所の設立経緯や経営方針によって異なる人材戦略を採っていることが影響していると考えられます。外国法事務弁護士比率は、人材とプラクティスエリアの多様性、海外展開とそのビジネスモデルのあり方などを捉える一つの指標であるとも考えられます。外国法事務弁護士の採用目標を設定している法律事務所も存在し、今後マーケットの変化が発生することも予想されます。