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書籍とリポートについて
「法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響続編Vol.4 AsiaWise法律事務所 久保光太郎代表弁護士のコメント中編」
前編は以下URLからご覧ください
https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/05/vol4_asiawise/
「一橋大学グローバルビジネスロー(GBL)セミナー これからの時代の クロスボーダー・ロイヤーの キャリアパス~アジアから始まるクロスボーダー・ロイヤーの輝き」と題されたセミナ―であった。2018年2月8日(木)に開催された。100名以上の方が集まっていたと記憶している。
キーメッセージは以下の内容だ。
「企業の活動がますますクロスボーダーになっていく中、弁護士等のプロフェッショナルもクロスボーダー化していくことが必要です。 我が国の弁護士のクロスボーダー展開は新たなステージを迎えていると言えます。大手事務所のアジア各国のオフィス展開に一服感が見られる一方で、東南アジアの現地事務所を買収する動きや、大手事務所を飛び出して独自の現地化戦略を打ち出す動きも見られます。では、これから時代のクロスボーダー・ロイヤーの役割は如何にあるべきでしょうか。世界がテクノロジーの力によって大きく変わり続ける中、リーガル・インダストリーはどのような変容を受けるのか。クロスボーダー・ロイヤーはレギュレーション分野でいかなる役割を果たすことが期待されるのか。そもそも我が国のクロスボーダー・ロイヤーはどのようにして誕生し、どこに向かっていくのか。時代の曲り角にある今、これらの問いに対する羅針盤を持つことが必要です。クロスボーダーに活躍するために越えるべきボーダーは国境に限りません。実務のニーズに即してしなやかにクロスボーダー・ロイヤーの活動領域を定義し直すことが必要です。」
このような久保弁護士の想いが込められていた。最後に当日のプログラムを引用する。
「オープニングリマーク 布井 千博 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授
基調講演 1 イノベーターとしてのクロスボーダー・ロイヤー
瀧本 哲史 (京都大学客員准教授。 エンジェル投資家、東大法学部から内田貴教授の下で助手となる。 その後マッキンゼーを経て独立。京都大学では 「起業論」等の講義を担当。)
基調講演 2 レギュレーション分野におけるクロスボーダー・ロイヤーの役割
羽生田 慶介 (デロイト・トーマツ・コンサルティング執行役員。多摩大学ルール 形成戦略研究所客員教授、経産省にてアジアとの経済連携交渉に従事後、米国系戦略ファームを経て現職。企業の競争力・収益力に直結するルール(規制・標準)を梃子にする戦略策定、渉外支援を主導。
基調講演 3 大手事務所ファウンダー世代に聞く ~我が国におけるクロスボーダー・ロイヤーの誕生と発展
江尻 隆 (名取法律事務所弁護士)日本最大のローファーム西村あさひ 法律事務所の前身あさひ法律事務所の創立者。渉外弁護士の草分け。
総括
山元 一 (慶應義塾大学法科大学院 教授) 専門は憲法学、主な研究対象はフランス憲法・トランスナショナル憲法であり、慶應大LL.M. プログラムの専攻長を務める。」
実に豪華な顔ぶれであり、改めて見るとテーマも大変魅力的で、2年以上前のテーマとは思えない。普遍的なテーマを捉えた企画だと改めて感じる。
久保弁護士はグローバルではなくクロスボーダーという表現をあえて使用し、「実務のニーズに即してしなやかにクロスボーダー・ロイヤーの活動領域を定義し直すことが必要です。」と述べている。ボーダーは一般に国境を想起させるが、久保弁護士は実務上越えるべきボーダーが国境だけに限られないことを指摘し、そのうえで弁護士の活動領域を再定義する必要性を述べている。クロスボーダーとは、ボーダーレスではなく、ボーダーを前提としてそこを超えていくことである。久保弁護士の考え方が垣間見える。
このカンファレンスで、久保弁護士を通して瀧本さんとのご縁をいただいたわけだ。それが今につながっていると思うと、感慨深さと感謝の想いを強くする。感慨に浸るのはそれくらいにしろと御叱りの声が聞こえる前に、本題に移りたいと思う。
久保弁護士は、クロスボーダー・ローヤーと自らを定義しているとおり、日本国内のみならずアジア、特にインドに強みを持つ。そんな久保弁護士がコロナ禍をどう捉えているのか、大変興味深い。1年の半分以上海外を飛び回っている久保弁護士から見たコロナ禍について当職なりに解説してみたいと思う。
「コロナショックの結果、国境は高くなり、外資規制も厳しくなりますが、同時に、オンライン・インフラの急速な普及によって、世界から地理的な距離による障壁が取り除かれたように感じています。」とコメントしている。コロナ禍により国境が高くなることと外資規制が厳しくなることをまず指摘している。国境が高くなり、外資規制が厳しくなるということは、海外での仕事や海外との仕事がやりにくくなり、世界の分断が進むのではないかと考えるのが普通の思考だろう。しかし久保弁護士は、逆に「世界から地理的な距離による障壁が取り除かれた」と指摘する。大変示唆的である。今の現実を閉じたように感じるか、それとも広がるように感じるかは、一人一人の視野や思考の深さ、経験が影響するわけだが、久保弁護士の感覚の鋭敏さを示す言葉と拝察する。地理的な距離による障壁が取り除かれた要因として、久保弁護士はオンライン・インフラの急速な普及をあげている。インターネットによって世界中に拡散する情報へアクセスできる権利・自由を人類は獲得してきたわけだが、ポストコロナでは、リアルとオンラインの高度にミックスされた世界がやってくると思われ、テクノロジーにより「会う」という概念さえ、再定義が求められる時代に入ったこと示すのかもしれない。そもそも「会う」とはなにか?そんなことさえも考えさせられる。
これは言葉遊びではなく、「会う」ということをどう再定義しリーガルサービスを再定義していくかは、非常に重要な視点であり、今後法律事務所や企業内法務部の差別化要因になるはずだ。読者には、弁護士を目指す若い方もいらっしゃると思うので、このような視点で改めて各組織の声に耳を澄ませてほしい。さまざまなことを識別できる感覚が養われるはずだ。そのような感覚の醸成は、ビジネスの現場に出たときに非常に重要であることを指摘しておきたいと思う。
話を戻すと、「会う」という概念の外縁をボーダーと捉えてみると、まさに再定義とはクロスボーダーと言えよう。久保弁護士と会話していると、物事を再定義する議論になることが多い。そもそも論とは、いわば再定義の思考プロセスであると解される。こんなところにも、生き方が反映しているように思うのだ。
続きは、「法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響続編Vol.4 AsiaWise法律事務所 久保光太郎代表弁護士のコメント後編」となります。
https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/05/vol4_asiawise_2/
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