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2022年法律事務所女性比率ランキング presented by 企業法務革新基盤
弊社公表の2021年女性弁護士比率ランキング及び弊社CEO野村のコメントが、2022年10月1日付の日本経済新聞「法律事務所に「女性不足リスク」、顧客から改善要望も(外部リンク、日経電子版)」に掲載されました。当該記事で言及されたように、女性弁護士のキャリアの持続・発展可能性は、法律事務所の差別化要因になりつつあります。
女性弁護士比率は、パートナーシップの機能性や働き方の多様性、風土などを捉える一つの指標とも位置づけられます。多様性を重要視し様々なライフイベントを考慮した柔軟な制度を構築・運用する法律事務所では、女性弁護士の採用・リテンションに成功しています。
2020年のIPBL AWARD L-STAR部門の表彰インタビューでは、弁護士の成長と事務所経営をロングスパンで捉える阿部・井窪・片山法律事務所の懐の深さを議論させて頂きました。『長い目で見てひとかどの弁護士になってほしい』との思いが経営の根底にあり、その思いを体現する制度と弁護士相互の信頼関係が両輪となることで、同法律事務所の柔軟かつ強固な組織が形成されておりました。
本年は、2022年4月22日時点での弁護士数上位50法律事務所(弁護士数35名以上の法律事務所、同数により52事務所が対象)における女性弁護士比率ランキングを調査しました。本調査における女性とは、女性として弁護士登録されている方を指しております。
以下が女性弁護士比率ランキングです。
順位 | 法律事務所 | 弁護士数 | 女性弁護士数 | 女性比率(%) | 女性弁護士数純増(人) | 本年女性比率(%)
- 昨年女性比率(%) |
1 | 阿部・井窪・片山法律事務所 | 51 | 17 | 33.3 | 0 | ▲ 1.4 |
2 | 田辺総合法律事務所 | 48 | 15 | 31.2 | 1 | 1.5 |
3 | クリフォードチャンス法律事務所外国法共同事業 | 35 | 10 | 28.6 | ▲ 4 | ▲ 10.3 |
4 | 原後綜合法律事務所 | 35 | 10 | 28.6 | 1 | 0.4 |
5 | ベーカー&マッケンジー法律事務所外国法共同事業 | 137 | 38 | 27.7 | 1 | ▲ 1.2 |
6 | モリソン・フォースター法律事務所 | 80 | 22 | 27.5 | ▲ 2 | ▲ 3.7 |
7 | 三浦法律事務所 | 72 | 19 | 26.4 | 5 | ▲ 2.8 |
8 | 鳥飼総合法律事務所 | 38 | 10 | 26.3 | ▲ 1 | ▲ 2.6 |
9 | 東京法律事務所 | 35 | 9 | 25.7 | 1 | 1.5 |
10 | 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 | 186 | 47 | 25.3 | 5 | 0.1 |
11 | 弁護士法人大江橋法律事務所 | 156 | 38 | 24.4 | 2 | 0.2 |
12 | 島田法律事務所 | 45 | 11 | 24.4 | 3 | 4.4 |
13 | のぞみ総合法律事務所 | 42 | 10 | 23.8 | ▲ 1 | ▲ 4.4 |
14 | シティユーワ法律事務所 | 167 | 39 | 23.4 | 0 | ▲ 0.7 |
15 | ホワイト&ケース法律事務所・外国法事務弁護士法人 | 39 | 9 | 23.1 | ▲ 2 | ▲ 9.3 |
16 | Authense法律事務所 | 66 | 15 | 22.7 | 0 | 0.3 |
17 | 光和総合法律事務所 | 45 | 10 | 22.2 | 0 | ▲ 0.5 |
18 | あさひ法律事務所 | 41 | 9 | 22.0 | 1 | 2.9 |
19 | 弁護士法人ALG&Associates | 88 | 19 | 21.6 | 3 | 3.6 |
20 | ベリーベスト法律事務所 | 346 | 74 | 21.4 | 13 | 0.3 |
2022年4月22日、企業法務革新基盤株式会社調べ。事務所名には主たる事務所の名称を記載しております。 本図表について、その一部又は全部につき、企業法務革新基盤株式会社に無断で転載、掲載することを禁止します。 |
女性比率30%以上であったのは、第一位の阿部・井窪・片山法律事務所と第二位の田辺総合法律事務所でした。阿部・井窪・片山法律事務所は安定した採用と離職者ゼロを続け、2020年の第一位、2021年の第二位に引き続き高い女性比率を維持しております。田辺総合法律事務所も、過去3年間の女性比率が約30%前後と安定感があります。
表の上位20法律事務所中、昨年比で女性比率が最も大きく上昇したのは島田法律事務所でした。検事、判事補経験者を中心とする女性比率の高い採用がこの結果に寄与しております。また弁護士総数に対しての女性弁護士数の純増では、本年も三浦法律事務所の伸びが顕著な結果となっております。
続いて、本年の新たな取り組みとして、73・74期の女性比率ランキングについて議論いたします。本稿では、弁護士数上位50法律事務所中、73・74期の弁護士が10名以上在籍する計21法律事務所を調査対象といたしました。
順位 | 法律事務所 | 73・74期弁護士数 | 73・74期女性弁護士数 | 女性比率(%) |
1 | ベーカー&マッケンジー法律事務所外国法共同事業 | 13 | 6 | 46.2 |
2 | 弁護士法人大江橋法律事務所 | 15 | 6 | 40.0 |
3 | 北浜法律事務所・外国法共同事業 | 13 | 5 | 38.5 |
4 | アンダーソン・毛利・友常法律事務所 | 82 | 30 | 36.6 |
5 | シティユーワ法律事務所 | 14 | 5 | 35.7 |
6 | 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 | 18 | 6 | 33.3 |
7 | 西村あさひ法律事務所 | 91 | 28 | 30.8 |
8 | 牛島総合法律事務所 | 10 | 3 | 30.0 |
9 | 弁護士法人御堂筋法律事務所 | 14 | 4 | 28.6 |
10 | 虎ノ門法律経済事務所 | 12 | 3 | 25.0 |
2022年4月22日、企業法務革新基盤株式会社調べ。事務所名には主たる事務所の名称を記載しております。 本図表について、その一部又は全部につき、企業法務革新基盤株式会社に無断で転載、掲載することを禁止します。 |
第一位はベーカー&マッケンジー法律事務所外国法共同事業で、73・74期女性比率は46.2%でした。同法律事務所ではインクルージョン&ダイバーシティ委員会を設け、具体目標の設定、ならびに半期毎の進捗測定を行っております。例えばジェンダー分野では、「ジェンダーダイバーシティ促進の一環として、2025年7月までに、グローバルでのパートナー以上の比率を、女性40%、男性40%、フレキシブル20% (女性、男性もしくはノンバイナリー)とすることを目標とします」との目標を掲げており、「東京事務所へ新たに入所するアソシエイトは、近年一貫してジェンダー・パリティーを達成」との実績が報告されています。多様性に関する目標と実績をともに報告する姿勢からは、同法律事務所が具体的な数字に責任を持つ姿勢を伺うことができます。
第二位は弁護士法人大江橋法律事務所です。73・74期女性比率40.0%、ならびに組織全体の女性弁護士比率24.4%と、大阪四大法律事務所では最も高い数字となっております。数値目標の対外的公表は行わないものの着実に女性採用を行っている企業法務系法律事務所の例です。弁護士法人大江橋法律事務所の女性採用における優位性は数多くあると考えられますが、採用HP・インタビューから色濃く出ているものとして、事務所に複数のキャリアのロールモデルが存在することや自由な組織風土は明確な特徴と言えましょう。
第三位以下においても、採用施策として女性弁護士のキャリアインタビューの紹介や採用ポリシーの明示を行っている法律事務所が数多く存在します。如何なる部分で候補者に対する差別化を行うか、さらに本質的には事務所のビジョンや組織構造を如何に創造するか、各法律事務所の戦略が一層問われます。
・本調査は、2022年4月22日時点の日本弁護士連合会等の公表データをもとに、企業法務革新基盤株式会社が作成しています。正確性を保つよう合理的な努力をしましたが、調査結果について企業法務革新基盤株式会社として完全性、正確性を保証するものではありません。
・事務所名には主たる事務所の名称を記載しております。
・本記事に記載されたコメントは企業法務革新基盤株式会社の見解です。
・本記事に記載された調査、編集、図表、分析された内容について、その一部又は全部につき、企業法務革新基盤株式会社に無断で転載、掲載することを禁止します。
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