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2023年法律事務所女性比率ランキング presented by 企業法務革新基盤

REPORTS 2023.12.20

 法律事務所における女性弁護士比率は、パートナーシップの機能性や働き方の多様性、風土、経営思想などを捉える一つの指標とも位置づけられます。多様性を重要視し様々なライフイベントを考慮した柔軟な制度を構築・運用する法律事務所では、女性弁護士の採用・リテンションに成功しています。

 本稿では、2023年3月時点での、法律事務所における女性弁護士数・比率、そして経年比較という観点から、解説を行います。

 弁護士数上位50法律事務所(弁護士数35名以上)について解説いたします。

順位 法律事務所 弁護士数 女性弁護士数 女性比率(%)
1 田辺総合法律事務所 51 17 33.3
2 阿部・井窪・片山法律事務所 52 16 30.8
3 ベーカー&マッケンジー法律事務所外国法共同事業 145 44 30.3
4 モリソン・フォースター外国法事務弁護士事務所 75 22 29.3
5 のぞみ総合法律事務所 45 12 26.7
6 三浦法律事務所・弁護士法人エムパートナーズ 78 20 25.6
7 島田法律事務所 48 12 25.0
8 法律事務所ZeLo・外国法共同事業 36 9 25.0
9 Authense法律事務所 65 16 24.6
10 弁護士法人大江橋法律事務所 167 41 24.6
11 鳥飼総合法律事務所 37 9 24.3
12 片岡総合法律事務所 37 9 24.3
13 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 196 47 24.0
14 シティユーワ法律事務所 180 43 23.9
15 弁護士法人ALG&Associates 96 21 21.9
16 光和総合法律事務所 46 10 21.7
17 アンダーソン・毛利・友常法律事務所 583 125 21.4
18 岡野法律事務所 61 13 21.3
19 西村あさひ法律事務所 663 140 21.1
20 弁護士法人淀屋橋・山上合同 72 15 20.8

 本年の女性比率トップは田辺総合法律事務所で33.3%、次いで阿部・井窪・片山法律事務所が30.8%、ベーカー&マッケンジー法律事務所外国法共同事業が30.3%と続きます。田辺総合法律事務所は、過去4年間で女性比率が常に30%付近と安定的な数値を示しており、本年は、75期での男女比1:1の採用も寄与し、女性比率トップとなりました。阿部・井窪・片山法律事務所は、従来より家族主義と形容される弁護士相互の強固な信頼関係、および長期でのキャリア形成を可能とする設計が存在しておりましたが、新たにDiversity & Inclusion Policyとしての明文化を通じ、D&Iへのスタンスを一層明確化しております。ベーカー&マッケンジー法律事務所外国法共同事業は、弊社インタビューでも表れているように、数値目標および進捗測定付きのD&Iポリシーを掲げる数少ない法律事務所です。本年も75期弁護士採用における男女比は1:1であり、それに伴い、組織全体の女性比率も昨年比で上昇し、100名以上の事務所では頭一つ抜けた女性比率となっております。

 マクロトレンドを捉えたときに、弁護士数上位の法律事務所における女性比率は上昇傾向にあります。2020年1月のデータと比較すると、第一に、四大法律事務所の全てで女性比率が上昇しております。過去数年の修習生採用の女性比率が、組織全体の女性比率を上回っていることから、リテンションの問題が発生しない限り、今後も四大の女性比率が上昇することが示唆されます。ただし、四大の中でも、それぞれの事務所に固有の人材動態が存在することは留意すべきと言えましょう。第二に、2020年時点で上位50事務所にランクインし、かつ現在も上位50事務所にランクインする事務所を対象とすると、約6割の事務所で女性比率が増加、約1割が女性比率の微減(0%~▲0.5%の変化)、約3割がそれ以上の女性比率の減少、となっております。女性比率が減少している事務所の中では、ベースの女性比率が高く、一時的に微小な女性比率の減少が発生している法律事務所も存在することを踏まえると、人材市場全体の女性比率の上昇の動態が示唆されます。なお、当該期間、特に女性比率が伸びた法律事務所としては、島田法律事務所が挙げられます。女性比率16%(2020年)から2023年においては女性比率25.0%と増加し、7位にランクインしております。

 修習生採用が10人を超える事務所の中で、修習生の女性比率が最も高いのは大江橋法律事務所でした。大江橋法律事務所は、事務所の風土や働き方の多様性が、女性弁護士比率・女性弁護士採用に直接的な影響を与えている顕著な例と言えるでしょう。直近4年間においても、女性比率は着実に上昇しております。

  歴史のある法律事務所においてはガバナンス・世代継承・パートナーシップなどとD&Iが交錯し、新興の法律事務所においては拡張性・組織化・パートナーシップなどとD&Iが関連する要素として存在します。経営思想の中でD&Iを如何に位置付けるか、という問いであり、組織戦略から導出されるべき論点であると言えましょう。

弊社では、規模とD&Iとの関連について、今後も複数の論考およびセミナーにて議論を行ってまいります。

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