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「法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響続編Vol.10 日比谷パーク法律事務所 代表パートナー 久保利英明氏のコメント 3/5」

REPORTS 2020.06.21

1/5 
https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/06/vol1015/

2/5
https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/06/vol1025/

 久保利弁護士が案件を引き受ける際のポリシーを以下のように久保利伝で記載している。非常に重要な点だと思うので、引用してみよう。

「『久保利は商売がうまい』と言う人がいたが、依頼者の抱えている問題に知識も経験もないまま、必死で取り組んだ結果が、弁護士が担当する新しいビジネスになっていっただけだ。商売のためにやったわけではなく、困っている人や組織を助けることが弁護士の仕事であり、社会正義の実現のために取り組んだ結果なのだ。」(ここまで引用)

 この記載を通して読者の皆様はどう感じるだろうか。当職は以下のようなことを考える。

 久保利弁護士はフロンティアとして、いくつものプラクティスを構築してきた。久保利弁護士が歩くと後ろにプラクティスができたといえる。現在のプラクティスの開発の在り方とかなり違う印象を受ける。トレンドだから、そこが商売になるからと取り組むという発想が多いのではないだろうか。若手弁護士と会話していると、いかにトレンドに乗るか、いかなるプラクティスにチャンスがあるのか、といった質問を受けることが多い。数年前までは、かかる質問に誠実に答えようとしていたが、なんとも言えない違和感があった。その頃は言語化できていなかった。最近、こういう類の質問には、上記の久保利弁護士の記述と同様の趣旨で答えるようになっていた。クライアントの課題がまずあり、それを解決するために取り組むなかでプラクティスは見えてくるのではないかと。自分がサバイブすることや稼ぐことが目的で、そのための手段としてプラクティスを考えるという思考プロセスではなく、クライアントの課題を解決するという目的があれば、おのずとプラクティスが見えてくるのではないかということだ。目的と手段が逆だ。自己保全の目的のために仕事をしていると飽きが早い。自己保全に関する課題はそれほど多くないからだ。しかし、社会の課題に目を向けると課題が次々と現れる。そこを解決することをベースに思考すると、手段としてのソリューションの発案は、無限の可能性があることに気づく。学問の発展の歴史も同じではないだろうか。確実なことをばかり求める発想に先はない。

 久保利伝の中で、久保利弁護士と他の弁護士の違いに言及されている。これも非常に示唆がある。引用してみよう。

「法律の解釈にすぎないアドバイスしか示さないから、依頼者は途方にくれてしまうのだ。そんな弁護士がいまでも圧倒的に多い。だから、弁護士はビジネスの邪魔と言われてしまうのだ」(ここまで引用)

 ここでいう弁護士を企業法務パーソンと入れ替えてもいいかもしれない。久保利弁護士の強烈な激励だ。逃げるなと。

 久保利伝には中村・角田・松本法律事務所 中村直人弁護士のコメントがある。そこにも同趣旨のことが記載されている。

「いまの弁護士は「こうすればこう」「こうなれば、こう」と言うだけで、「こうすべきだ」という結論は出さずに逃げ回る弁護士が99%。久保利さんはリスクを負って「こうすべきだ」とアドバイスするから依頼者から信頼される。」(ここまで引用)

 さらに久保利伝では以下の記載が続く。

「単なる法律の解釈から一歩も二歩も踏み出して、戦略を練り、戦術を工夫して、武器を改良し技量を錬磨して、依頼者の思いに応えるのが弁護士の仕事なのだ。否、本来、弁護士だけではなく、経営者も、政治家も、ジャーナリストも、サラリーマンだって、闘争業なのだ。それなのに、同調圧力や、慣習や、既得権益や、見栄っぱりや、胆力不足から闘いに踏み切れないだけなのだ」(ここまで引用)

 痛恨の一撃だ。ここまで言われると気持ちいい。瀧本さんもよく同趣旨のことを言っていた。瀧本さんの『僕は君たちに武器を配りたい』(2011年、講談社)のタイトルにもその精神が現れているように感じる。あえて「武器」という言葉を選択している。瀧本さんは、この本を通して、読者、特に20代の若者に社会で闘う武器を授けようとしているのだ。久保利弁護士がここで指摘する例示は自己の振る舞いをチェックするのに役立つのではないかと思う。すなわち、 

・同調圧力によって闘いに踏み出せていないか
・慣習によって闘いに踏み出せていないか
・既得権益によって闘いに踏み出せていないか
・見栄っぱりによって闘いに踏み出せていないか
・胆力不足によって闘いに踏み出せていないか

である。立ち止まって振り返ってみたい。 

次回、「法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響続編Vol.10 日比谷パーク法律事務所 代表パートナー 久保利英明氏のコメント 4/5」は明日掲載予定です。ご期待ください。

4/5は、以下URLからご覧ください。下記リンクは6月22日夕刻以降有効となります。
https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/06/vol1045/

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