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「法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響続編Vol.11 三浦法律事務所パートナー 三浦亮太弁護士のコメント 1/5」

REPORTS 2020.06.28

 企業法務革新基盤株式会社の代表取締役の野村でございます。弁護士・法務人材の方からご要望いただき、本年54日に『法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響』と題した記事を掲載したところ、大きな反響をいただきました。クライアントから送っていただきましたメール・DMの内容を拝見すると、興味深いご意見が多く含まれておりました。具体的には、記事に対してのご感想のみならず、ご自身のリーガルマーケットの見立てや今後の法律事務所/企業内法務の在り方といった非常に示唆に富むものでした。

 各種SNS等ではコロナ禍とリーガルマーケットに関するさまざまな意見が発信されておりますが、現在のリーガルマーケットを牽引しているリーダーたちの発信を見ることは難しいのが実態です。一方で、今回のコロナ危機は、司法試験の延期実施が決断されるなどまさに未曽有の事態であり、企業法務人材・弁護士・司法修習生・司法試験受験生としては、キャリア戦略や法務部・法律事務所の在り方について再考を迫られていることと推察されます。このような状況下では、リーガルマーケットを牽引するリーダーたちがいかなる視点で現在のコロナ禍を捉え、いかなる未来を志向しているか知ることは、平時以上に重要であるといえましょう。 

 リーガルマーケットのリーダーたちのご意見を共有することは、将来におけるリーガルマーケットの発展に寄与するものと考えます。そこで、当職からリーダーの方々との個人的DM・議論の一部を公開させて頂けないかと打診を致しましたところ、皆様からご快諾を賜りました。皆様におかれましては、心より御礼申し上げます。

 今回のシリーズで連載させて頂きますのは、法律事務所・弁護士・法務管掌役員・企業内法務部の管理職の方からの忌憚のないご意見です。豪華メンバー10名以上が非公式かつ個人的見解として述べるからこそ見えるものがあります。公式のインタビュー記事では見えない世界がそこにはあります。弁護士・法務人材の方はもちろんのこと、企業内法務部を持つすべての経営者の方にとって示唆に富んだ内容であることでしょう。ご期待ください。

 それでは、本日は、三浦法律事務所パートナー 三浦亮太弁護士のコメントを掲載させていただきます。なお、あくまで個人の見解であり、所属組織の公式見解ではございません。

「貴著『法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響』を拝見しました。私どもの事務所に関しては、一部クロスボーダーM&Aの延期といった事象は生じていますが、全般的には特段影響はありません。 

 法律事務所がクライアントに対して提供するのは"リーガルサービス"という無形物なので、他の業種以上に良い人材(弁護士、スタッフ)を確保できるか否かが成長できるかどうかの分水嶺になります。50期代・60期代が活き活きとしていれば、他の事務所・企業で働いている優秀な50期代・60期代が参画するとともに、70期代が憧れをもって参画し、その総体としての法律事務所の戦力が高ければおのずとクライアントから多くのご依頼も頂けるものと考えています。幸いにも設立以来優秀な弁護士が多く参画し続けました。

 今年からいわゆる新卒と呼ばれる74期の採用を開始しようとしていたところ司法試験の延期が発表されましたので若干の採用スケジュールの変更等はありますが、採用方針自体の変更はありません。

 従前から、若手弁護士は新しい分野と法改正で変わる分野がチャンスであると言ってきました。私が若手のころから注力していた商法分野が、平成11年以降は毎年改正されて会社法制定に至るという他に例を見ない激変分野でした。自己株式の取得が禁止されている時代の知識で止まっている弁護士が多くいたこともあり、クライアントからのご質問、ご依頼を多くいただきました。現在でも企業法務の分野で注力すべき新しい分野と変わる分野は多くあります。事務所全体として研鑽に励み、既存クライアントからも新規クライアントからもご依頼いただける事務所でありたいと思います。」 
(三浦法律事務所パートナー 三浦亮太弁護士)

(当職野村の解説)
 本連載シリーズ、掉尾を飾るのは三浦法律事務所のパートナー 三浦亮太弁護士だ。昨年、企業法務業界で最も話題になった法律事務所、それが三浦法律事務所だ。記録ずくめのスタートだった。201911日に三浦法律事務所は創設された。創設に参画した弁護士数は20名を超えていた。これほどの人数が新設企業法務系法律事務所に参画することは、日本の企業法務系法律事務所の歴史上過去に例がない(弊社調べ)。歴史的な出来事なのだ。

 もちろん人数だけ集めることが、なにが歴史的な出来事なのだという反駁も考えられるが、当職は日常的にリーガルマーケットの動きを統計的に分析していることもあり、どれほど稀有な動きであったかが分かる。企業法務系法律事務所で20名以上を創業から集めることは、言うのは簡単だが至難の技なのだ。創業から10年経っても、10名を超えない法律事務所も多いし(意図してそうしている法律事務所もある)、強烈な強みを持つ代表弁護士がいる企業法務系法律事務所は、概ね30名前後で規模が止まる。もちろん、規模を追わない法律事務所も多いのだが、そういった法律事務所でもいざ規模を大きくしようと考えても30名前後から50名、60名に成長させることは難しい。歴史はそのことを示している。スーパー代表弁護士の売上で支えられる規模は30名くらいが限界であること、そして、2030名を超えるあたりから離職率が高くなるなど、組織戦略の巧拙が如実に出始めるのだ。

 ここで、組織を構築する難しさを示したい。独立してから人を採用する難しさを認知する弁護士は多い。広告を打てば、エージェントを多数使用すれば、メディアでの露出を増やせば、ひまわり求人に出せば、優秀で意欲のある弁護士は集まるのだろうか。まさにかかる発想で取り組む方も多いが、すぐに壁にぶつかる。そういう形で集めた組織は、短期間で壊れていくことが多い。なぜだろうか、簡単だ。広告や露出で集まる人は、そういう人たちということだ。表面に惹かれて集まった人材は、内部に入ると現実を目の当たりにし、波が上向きな時は集まっているが、波が下向きになると離散していく。ミーハーと言ってもいいかもしれない。そして、経営者がその程度でしか組織論を考えていなかったということだ。

 もちろん、ビジネスモデルやプラクティスによって、そのような動きが必要なときもあろう。それはそれでビジネスモデルなのだから否定はしないが、そのような意図で構築された組織の構成員の幸福度は果たして高いのだろうか。そういった法律事務所は離職率の高いケースが多い。企業を見ても社員の幸福度が低くても利益を上げ続けている組織はある。それはそれで存在し続けるのが実社会の実態だが、弊社はそのような組織の受任はしない。当職はそういう案件がいくらお金になろうとも、まったく興味がない。まっぴら御免だ。むしろ、そういう組織から若い弁護士たちを救い出したい。それこそが企業法務業界の革新につながると信じるからだ。若い弁護士たちの時間を消費されるものとしてではなく、未来につながる活力のために使っていただきたいのだ。
 
 ファウンディングパートナーの瀧本さんが、一番大切にしていたのは時間だった。お金ではない。時間が最大の資産だということだ。時間は、すなわち、命ということを意味する。時間をいかに過ごすか、扱うか、いかなる目的観で対峙するのか、時間の彩り方は多様だが、そこに大きな違いが出てくる。価値も一様ではない。その時間をくだらない組織に奪い取られないでほしい。弊社は、皆様が未来の挑戦に打って出ていくことを支えるプラットフォームでありたいのだ。まだまだ未熟であるが、確実に成長し、支援できる幅を広げていく覚悟だ。 

※なお、本日別記事にて、弊社本社の丸の内ビルディングへの移転と今後の経営方針についての発表をいたしました。下記URLからご覧ください。
https://lawplatform.co.jp/medianews/2020/06/post_10/

続きは、「法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響続編Vol.11 三浦法律事務所パートナー 三浦亮太弁護士のコメント 2/5」となります。2/5は、以下URLからご覧ください。以下のリンクは本日から有効となります。

https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/06/vol1125/

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