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「法務人材の転職及び弁護士の転職へのコロナ禍による影響続編Vol.11 三浦法律事務所パートナー 三浦亮太弁護士のコメント 5/5」

REPORTS 2020.07.05

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https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/06/vol1115/

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https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/06/vol1125/

3/5
https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/06/vol1135/

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https://lawplatform.co.jp/booksreports/2020/07/vol1145/

「従前から、若手弁護士は新しい分野と法改正で変わる分野がチャンスであると言ってきました。」非常に重要な指摘だ。本連載Vol10に登場いただいた久保利弁護士も同様の指摘をしている。法改正で変わる分野がチャンスであるとの指摘を久保利弁護士の実績を通して証明してみよう。久保利弁護士が総会屋対策に本腰を入れはじめたのは、1981年の商法改正を契機とする。1981年の商法改正では、総会屋への利益供与が禁止され、かつ、株主総会の活性化を目的として役員の説明責任を明記した。さて、読者の皆様は、この商法改正から新しい業務がどういう論理で生まれると考えるだろうか。どう仮説を立てるだろうか。当時は、株主総会で食っている弁護士などほとんどいなかった時代だったことを前提に、まずはご自身の頭で考えていただきたいと思う。

 当該商法改正を契機として、久保利弁護士は、総会屋を株主総会から退場させることを決意し行動を開始する。利益供与が禁止されると何が起きるのか。会社が総会屋への利益供与ができなくなると、総会屋は収益源を失う。そこで、総会屋は利益供与を継続させるために何をするのか?上記役員の説明責任の規定を利用し、株主総会で長時間に及ぶ発言を繰り返し、総会を引き延ばすなど、妨害行為を繰り返すことになる。それに対抗するために、弁護士が株主総会に関する指導を行い総会屋と対峙するという新しいプラクティスが生れたわけだ。仮に現在の実務を知らない方の目の前に商法の条文が置かれたとする。当該条文を読んで、果たしてそれだけのマーケットが広がっていることを、どれほどの方が想像できようか。三浦弁護士の指摘が重要だと申し上げたのは、まさにここにある。改正された内容をいかに深く読み込み実務として想像し、マーケットの奥行きを見通せる感性があるか。そして、胆力をもってマーケットとして切り開いていくことが重要だというのだ。そこに若手のチャンスがあることを示している。作られたプラクティスだけをやるだけではなく、いかに新しい発想で変化の中からプラクティスを構築していくか。そして、それがいかなる目的観によって支えられているかということも重要だ。志がなければならない。令和に入っても、さまざまな法改正があり、今後もますます新法や改正の動きは続くだろう。ということは、多くのチャンスがあるということだ。それだけの専門分野が生れるということだ。大事なことは、その知識知見を如何に実務に落とし込み、そして、マーケットを動かしていくかだろう。法律と実務の間の接続点を構築していく。実務家の本領を発揮すべき領域だ。そこに知恵が必要だ。

「私が若手のころから注力していた商法分野が、平成11年以降は毎年改正されて会社法制定に至るという他に例を見ない激変分野でした。自己株式の取得が禁止されている時代の知識で止まっている弁護士が多くいたこともあり、クライアントからのご質問、ご依頼を多くいただきました。現在でも企業法務の分野で注力すべき新しい分野と変わる分野は多くあります。」平成11年は西暦でいうと1999年にあたる。1999年以降は毎年改正されて、20056月に会社法は国会で成立する。その激変の時期に、前述のとおり三浦弁護士はアソシエイト時代を過ごしたことになる。そして、激変が進む時代は、新しいことを吸収する余力のある若い弁護士にとってはチャンスだというのだ。「自己株式の取得が禁止されている時代の知識で止まっている弁護士」を一気に追い抜いていった。そのことは、三浦弁護士の若い時代だけに当てはまることではなく、「現在でも企業法務の分野で注力すべき新しい分野と変わる分野は多く」あると指摘されている。それらを活かす意欲があれば、チャンスがあるではないかと示されている。コロナ禍を通して、新法や大きな改正が次々と施行されていく動きが出てくる。このチャンスを実務家としてモノにするか傍観者として見過ごすか、その態度如何によってキャリア人生は大きく変わることになろう。

「事務所全体として研鑽に励み、既存クライアントからも新規クライアントからもご依頼いただける事務所でありたいと思います。」最後に決意を述べ結ばれた。

 2020年代は企業法務系法律事務所の勢力図の激変の時代になるだろう。その中で、三浦法律事務所が台風の目となることは間違いないだろう。大きなスケールと大きな志を持つ弁護士が三浦法律事務所の中から輩出されることを強く希望する。そうなれば、日本のリーガルマーケットの発展につながり、ひいては、日本企業の国際競争力の強化につながるはずだ。

ここで筆をおきたいと思う。

本連載は、本稿で11回を数えた。書き進めるなかで、当職の筆はどんどん暴走し、後半戦になると、もはや題名と離れた内容に変化していった。それも本連載の通底するテーマである「変化」と開き直りテーマに縛られず、伝えるべきことを書き連ねた。一定の役割が本連載にはあったのではないかと思う。ご登場いただいた皆様のコメントの解説は本稿で終了である。次は、総括記事として、本連載を横軸で振り返りたいと思う。そろそろゆっくりと睡眠をとりたいと思うので、来週か再来週には掲載するという曖昧さでぼかしながら終えたいと思う。では、また来週もしくは再来週に。

 と書き終えるはずでしたが、遅ればせながら下記の方からコメントをいただきました。12回目を急遽掲載することといたします。

 12回目は、Zホールディングス株式会社 執行役員 法務統括部長及びヤフー株式会社 執行役員法務統括本部長 妹尾正仁氏です。ご期待ください。

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